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■京化■京都大学理学部化学科・京都大学大学院理学研究科学専攻

量子化学分科

教授 谷村 吉隆 准教授 安藤 耕司 助教 金 賢得

当分科は化学、物理、生物にまたがる多様な現象を理論的に解析し、現象を支配する共通原理を探り、概念的に新しい科学を構築する事を目標にしております。科学の最先端は知識のたどり着く地平線にあると言えましょう。近年の学術の進歩は、化学や物理、生物と言った既存の枠組を超え、それらの領域の最先端が重なる所にあります。当分科が対象とする化学物理、生物化学物理はまさにこの重なる所が研究領域であり、水から蛋白質まで無限ともいえる多様性を示す分子、そして、その集合体を対象としています。この多様性こそがこの分野の持つ面白さであり、また難しさです。

当分科では、このような多様な化学現象に秘められた物の理を、様々な角度から、理論的に総合的に探究しております。
ハイブリット分子動力学法で計算されたホルムアミド液体の2次元ラマン分光シグナル。このシミュレーション結果に基づき、カナダのミラーグループが実際に実験を行い、予想される強度で信号を得る事に成功した。2次元ラマン分光法は当分科で理論的にその可能性が提案された実験手法である。
具体的には凝縮層中分子の量子動力学を中心テーマとし超高速分光の基礎理論の開発、化学反応における量子過程と散逸効果の研究、溶媒中の分子の電子移動反応のミュレーション、光合成系分子のプロトン移動反応や電子移動反応、有機導体や電荷移動錯体の量子化学計算による研究等を行っています。

固体系から生物系まで幅広く研究していますが、電子移動や化学反応等を支配している量子効果と、そこに及ぼす溶媒等の散逸系の効果について重点を置いており、非平衡量子統計力学的観点より研究を進めております。基礎的な研究ですが、結果はスペクトル等の実験観測量として提示し、実験的な研究にも多くのインパクトを与えてきました。用いる手法もスピングラス理論、経路積分法、Fokker-Planck方程式、モンテカルロ法、分子動力学法、量子化学計算など多岐にわたっていますが、これら解析的、数値的手法を独自に開発しており、その先進性こそが我々の最大の武器だと思っています。

当分科は化学や物理の様々なバックグランドを持った人が集まっており、異なる個性をぶつかり合わせる事で、既存の限界を超える理論を開発し、そして開発しております。真理を探究するという目的において、学生も先生もありません。当分科のメンバーは、多様な問題を取り扱う事により、科学のグローバルな流れを知り、その共通原理を探る事により、自らの手で、知識の水平線を少しでも広げる事を目指しております。

© Kyoto University 2008