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■京化■京都大学理学部化学科・京都大学大学院理学研究科学専攻

生物構造化学分科

教授 三木 邦夫 准教授 竹田 一旗 助教 藤橋 雅宏

生命活動は化学反応の集大成と言えるでしょう.たとえば,私たちの目が光をとらえる場合も,筋肉の動作も,はたまた,親から子への形質の遺伝においても,種々の化学反応がその巧みな組み合わせによって重要な使命を果たしています.このような生体内の反応は,全て厳密な制御のもとに行われています.この制御を担うのがタンパク質です.タンパク質は20種類のアミノ酸のポリマーですが,それぞれのタンパク質が固有にもっている機能は,それが折れたたまれて三次元的な立体構造を形成することで初めて発揮されます.それゆえに,タンパク質の三次元構造は,そのはたらきを理解する上で,本質的に重要かつ不可欠な情報です.私たち生物構造化学研究室では,このようなさまざまな生体内反応ではたらくタンパク質の三次元構造を原子レベルで決定して,そのタンパク質のかたち(構造)とはたらき(機能)の関係を解明することで,生命活動を支える化学反応の本質に迫る研究を行っています.

タンパク質の立体構造を決定するための手法としては,X線結晶解析法を用います.この方法では,まず遺伝子操作技術を用いて研究目的のタンパク質を発現させ,純粋なタンパク質を得るところから始まります.この純粋なタンパク質を結晶化して,これにX線を照射することでその回折像を得ることができます.そのX線回折実験には,世界でも有数のシンクロトロン放射光施設である兵庫県播磨のSPring-8,茨城県つくばのPhoton Factoryの極めて強力な放射光X線を使用しています.この回折像にはタンパク質分子の電子分布に関する情報が含まれていて,これを解析することで結晶内の電子密度図を得ることができます.この電子密度図にタンパク質の分子構造を組み立てていくことで,求める正確な立体構造を高い分解能で決定することができます.

代表的な研究テーマとしては,DNAと相互作用してDNAの遺伝情報伝達のタイミングを制御するタンパク質,分子シャペロンのような他のタンパク質分子が正しい三次元構造を作り上げるのを助けるタンパク質,高い選択性で生体内反応を直接制御する酵素などがあります.また,地球温暖化の問題との関係からも興味がもたれる,光合成の二酸化炭素固定にかかわる酵素群の構造研究にも取り組んでいます. このような生命現象の研究を通して科学を楽しもうとする諸君が,私たちの研究室でさまざまな生命科学のテーマに挑戦してくれることを望んでいます.

タンパク質の結晶
X線回折像
タンパク質の電子密度

DNAを認識するタンパク質の構造
二酸化炭素固定に関わるタンパク質の構造

(最終更新日;2014年12月01日)

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