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平成21年度 課題研究紹介Q12 凝集系の分子分光｜Q13 分子集合体および無機化合物の構造と物性｜Q14 固体・表面のナノ構造解析｜Q15 化学反応ダイナミクス・理論生物物理化学｜Q16 化学物理理論 有機物性化学｜生物構造化学｜量子化学｜理論化学｜分子分光学｜物理化学｜光物理化学｜分子構造化学｜電子スピン化学｜金相学｜表面化学｜無機物質化学｜有機合成化学｜有機化学｜集合有機分子機能｜生物化学｜遺伝子動態学 Q12 凝集系の分子分光（5221）生理的機能を有するタンパク質の構造変化や電子状態変化のダイナミクスを過渡回折格子法，過渡吸収法等のレーザー分光法を用いてミリ秒からサブピコ秒の時間領域で研究する。また，単一分子検出法，レーザー顕微分光法の装置を開発・応用して，個々のタンパク質の揺らぎ，反応を明らかにし，細胞内分子集合・反応活性変化を研究する。生体関連のみならず，超臨界流体やイオン液体中での反応・分子ダイナミクスについても種々の時間分解分光法で研究する。（5606「光物理化学」を参照） 固体表面やナノ構造体表面は学術的にも応用面においても重要であり，これらの表面やこれらの間の界面における様々な動的過程には電子－格子相互作が重要な役割を果たしている。そこで，これに着目し，コヒーレント表面フォノン，吸着分子のエネルギー散逸，反応などのダイナミクスをフェムト秒領域の時間分解能を持った表面に鋭敏な様々な光非線形分光（第2高調波発生，和周波発生，2光子光電子分光など）を用いて研究する。（5604「分子分光学」を参照） 学生に対する評価：一年間の総合的な研究姿勢・研究成果で評価する。 Q13 分子集合体および無機化合物の構造と物性（5222）無機固体化合物が示す興味ある相転移現象（構造相転移，規則・不規則転移，整合・不整合転移，価数転移，磁気転移，超伝導転移，金属・絶縁体転移など）やフェルミ液体，スピン液体などの特異な電子状態を対象に，種々の手段（X線・電子線回折，走査型・透過型電子顕微鏡，示差熱重量分析，電気抵抗率・磁化率測定，核磁気共鳴法）を用いて物性物理化学の研究を行う。（5609「金相学」を参照） 学生に対する評価：卒業研究であるので，一年間の総合的な研究姿勢，研究成果で評価する。 Q14 固体・表面のナノ構造解析（5223）固体表面における反転対称性の破れによるスピン軌道相互作用（巨大Rashba効果）および表面スピン流，表面相転移現象などに関する，角度分解光電子分光などによる研究と，極低温表面におけるプロトンのトンネリングなどの現象に関する極低温走査トンネル顕微鏡，振動分光等による研究を行う。（5610「表面化学」を参照） 固体のナノ領域の構造及び物性を明らかにするための新たなNMRのハードウェアや測定手法を開発し，それらを駆使して興味ある系の静的動的構造を研究し，その物性・機能の発現機構を解明することをめざす。（5607「分子構造化学」を参照） 学生に対する評価：平常点（セミナー出席等）と発表により評価する。 Q15 化学反応ダイナミクス・理論生物物理化学（5224）化学反応を駆動する高速の電子状態変化を極短パルス紫外レーザーを使った時間分解光電子分光でリアルタイムに観測する。また，原子分子の衝突反応を交差分子ビーム散乱イメージング法による微分散乱断面積の解析によって明らかにする。分子モーターや光受容体などの生体分子の機能発現機構を，分子物理化学の観点から分子シミュレーションの手法を用いて理論的に研究する。（5603「理論化学」，5605「物理化学」を参照） 学生に対する評価：一年間の総合的な研究姿勢・研究成果で評価する。 Q16 化学物理理論（5225）理論的手法を用いて次の分野・対象の研究を行う。
学生に対する評価：一年間の総合的な研究姿勢・研究成果で評価する。 5600番台．化学課題研究［Special study course II (Chemistry)］（通年） 1 有機物性化学（5600）有機超伝導体，低次元有機及び配位化合物を中心とした分子集合体の合成と電気的，磁気的，分光学的諸物性の研究を行う。これらの物質が示す変化に富んだ様々の機能は，その集合体の構成要素（原子，分子，イオン）の電子状態や構造に密接に関連し，さらに，構成要素同士の結合様式や，集合体としての電子状態，構造に大きく依存している。これらの諸条件と物性現象との関連について理解を深める。 学生に対する評価：卒業研究であるので，一年間の総合的な研究姿勢，研究成果で評価する。 2 生物構造化学（5601）生物結晶学の手法を用いて，生体細胞内で重要な反応をつかさどっているタンパク質分子の三次元構造を高分解能で決定し，立体構造と機能との関係を分子レベルで理解することによって，生体内反応の分子機構を解明する。生命科学の分野で構造・機能の重要性から注目されている多くのタンパク質を研究対象にしている。例えば，分子シャペロンに代表されるタンパク質の高次構造形成やタンパク質の輸送に関与するタンパク質群，DNAとの相互作用と反応制御，生体内エネルギー変換と電子伝達，代謝にかかわるタンパク質を取り上げている。構造有機化学分野では，包接化合物など分子集団系における有機分子の構造およびその動的挙動を決定する因子を実験および理論を通して明らかにする。 学生に対する評価：一年間の研究へのとりくみと成果で総合的に評価する。 3 量子化学（5602）理論的手法を用いて次の分野・対象の研究を行う。
学生に対する評価：一年間の総合的な研究姿勢・研究成果で評価する。 4 理論化学（5603）分子の電子状態及び動力学理論を用いて化学反応機構の研究を行う。具体的には気相及び液相における化学反応のポテンシャル面と動力学，分子と電磁場との相互作用などが主なテーマであり，これらの研究を遂行する上での新しい計算手法の開発も行う。課題研究ではこれらの研究を行う上での基礎となる理論的手法の修得を主な目的とする。 学生に対する評価：一年間の総合的な研究姿勢・研究成果で評価する。 5 分子分光学（5604）光と分子や物質との相互作用に基礎をおく分子分光学は，分子や物質の構造および機能をミクロな観点から理解するための最も重要な研究分野である。また，光による非熱的な反応を対象とする光化学は，物質変換を制御する上できわめて重要である。本研究室は，このような分子分光学，および，光化学の立場から，物質の静的な側面のみではなく，むしろその動的な側面を中心に研究を行う。固体表面やナノ構造体表面は触媒反応をはじめとする学術的にも応用面においても重要な反応場であり，この反応場における原子・分子を主な研究対象とする。反応を含む動的過程を理解するためには表面の構造，電子状態のみならず，吸着種との相互作用，そして，多様な素過程のダイナミックスを明らかにしなければならない。このため，フェムト秒領域の時間分解能を持った表面に鋭敏な様々な光非線形分光を開発し，これを用いて吸着種のエネルギー散逸過程や表面化学反応の空間・時間領域での発展の様子を明らかにし，不均一反応の十全な理解を目指す。 学生に対する評価：平常点（セミナー出席等）と発表により評価する。 6 物理化学（5605）分子の電子構造，幾何構造の基本的理解に基づき，分子衝突や光化学の素過程における高速な状態変化や粒子散乱を実験的に観測し，化学反応のダイナミクスにを明らかにする。量子化学，分子分光学，化学反応論等に関する学習を深めると共に，超高速レーザーや分子線散乱を用いた研究を進める。 学生に対する評価：一年間の総合的な研究姿勢・研究成果で評価する。 7 光物理化学（5606）時間分解のレーザー分光法を用いて分子の構造，動的性質，反応性，及び分子間相互作用を研究する。具体的には以下のテーマで研究を行う。
学生に対する評価：平常点（出席，セミナー出席・発表,研究姿勢など）で評価する。 8 分子構造化学（5607）物質に内在する核スピンをプロープとしてミクロな立場から分子の静的動的構造に関して最も詳細な知見を与えるNMR（核磁気共鳴）は多次元NMR，多量子NMR，固体高分解能NMRなど，多方面にわたり著しい発展を遂げつつある。NMRの新たなラジオ波パルス系列を導入して分子内及び分子間相互作用を高選択的に測定することによって他の手段では得られなかった情報を取得し得る手法を開発する。また，これらの手法を駆使して，生体・合成高分子や包接化合物・液晶など興味ある集合分子系の構造・性質を研究し，それらの物性・機能の発現機構の解明を目指す。 学生に対する評価：平常点（出席，小テストなど）で評価する。 9 電子スピン化学（5608）化学結合を担っている電子の挙動を物理化学的な実験手法で調べ，量子化学の理論を用いて，分子やラジカルの構造，性質あるいは化学反応を解明することがこの課題研究の主題である。特に，りん光発光や磁場消光などの電子のスピン運動が深く関与している現象に注目し，高分解能レーザーや電子スピン共鳴（ＥＳＲ）を用いて詳細な実験を行なう。その結果を基本理論や量子化学計算を用いて考察し，分子のエネルギー構造や励起状態の緩和過程を一般的に理解することを目標として研究を進める。 学生に対する評価：課題研究をまとめた小論文を提出してもらい，それによって評価する。 10 金相学（5609）遷移金属を含む無機固体化合物を合成し，X線・電子線回折法，走査型・透過型電子顕微鏡法，示差熱重量分析などを用いた平衡状態図と結晶構造の研究，及び，電気抵抗率測定，磁化率測定，核磁気共鳴測定などによる物性物理化学の研究を行う。特に，興味ある相転移現象（構造相転移，規則‐不規則転移，整合‐不整合転移，価数転移，磁気転移，超伝導転移，金属‐絶縁体転移など）やフェルミ液体，スピン液体などの特異な電子状態を示す無機固体化合物について理解を深めるとともに，新規化合物の探求を行う。 学生に対する評価：卒業研究であるので，一年間の総合的な研究姿勢，研究成果で評価する。 11 表面化学（5610）(1) 固体表面における反転対称性の破れに由来するスピン軌道相互作用（巨大Rashba効果）および表面スピン流に関する実験的研究，(2) 新奇な表面相転移現象の機構に関する角度分解光電子分光等による研究，(3) 極低温表面におけるプロトンのトンネリングなどの量子現象に関する極低温走査トンネル顕微鏡による研究，(4) 固体表面に吸着した原子・分子の構造・動的挙動に関する振動分光等による研究，など。 学生に対する評価：平常点（セミナー出席等）と発表により評価する。 12 無機物質化学（5611）無機化合物を題材として，非平衡状態を利用した合成法による新規化合物の合成，合成された化合物の構造および化学結合に関する解析，電気伝導度や熱的性質等のマクロ特性の評価と解析を行う。主に無機非結晶質のバルク状および薄膜状固体を対象として，
などを通して，新規機能性無機化合物の創製に対する設計指針の確立を目指す。 学生に対する評価：成績は出席および発表により評価する。 13 有機合成化学（5612）「精密有機合成を指向する人工酵素のデザイン」と「環境調和型有機合成」を二つのキーワードとして研究を進め，新しい概念に基づいたアプローチにより有機化学における基礎的かつ本質的課題の解決を図ることによって，有機合成化学の新たな，そしてダイナミックな展開を日指している。
学生に対する評価：平常点とレポート試験で評価する。 14 有機化学（5613）主として光学活性遷移金属錯体を用いた触媒的不斉合成反応の開発研究を行う。近年急速に進歩しつつある不斉合成研究は生体機能解明のための有力手段の一つになりつつあると同時に，生体反応に迫り，それを越える一般性の高い光学活性体の合成を実現する現代精密有機化学の中で最もチャレンジングな研究領域となっている。中でも光学活性な遷移全属錯体を触媒とする不斉合成は反応機構的にもまたその実用性からも脚光を浴びている分野である。そのような触媒的不斉合成を実現するため，a）新しい高立体選択的な不斉環境のデザイン・構築。b）新しい触媒反応の開発。c）触媒反応中間体モデルとしての有機遷移金属錯体の研究，などを行う。 学生に対する評価：平常点（出席，小テストなど）で評価する。 15 集合有機分子機能（5614）優れた機能性をもつ配列有機分子集合体を設計し，最新の合成法を駆使して構築する。天然の光合成系アンテナ複合体のモデル化合物となる大環状ポルフィリン多量体を合成し，その励起ダイナミックスを超高速時間分解分光法によって徹底的に追跡する。このため，ポルフィリン多量体やその金属錯体の新しい合成手法の開発が重要な研究テーマの一つである。また，芳香族性の解明は有機化学において非常に重要な研究テーマである。18π系の芳香族化合物であるポルフィリンを共有結合や超分子的な相互作用でつなぎ合わせて，電子配置の変換によって出現する新規物性を探索する。ポルフィリン骨格そのものを拡大した22π電子以上の共役系を持つ環拡張ポルフィリンは，ポルフィリンとは大きく異なる性質を示す。その特異な酸化還元挙動によって初めて発現する「芳香族性」「反芳香族性」「ビラジカル性」や反応性を詳細に検討する。さらに，最近第３の芳香族性である「メビウス芳香族性」をもつ環状共役系分子を世界に先駆けて開拓した。これに関連した研究も行う。また，14π系ポルフィリノイドに代表される環縮小ポルフィリンの開発も行う。遷移金属触媒を用いた芳香族化合物の新規修飾反応にも取り組み，ポルフィリン系分子の新合成に活用する。新しい有機分子を創製し，その意義を明らかにする研究を行う。 学生に対する評価：卒業研究であるので，一年間の総合的な研究姿勢，研究業績で評価する。 16 生物化学（5615）遺伝情報をになうDNAからどのように必要な情報が引き出されるのか，またDNAはどのような化学反応性や物性を持ち，たんぱくや小分子により認識や反応が起こるのかを分子レベルで解明する。さらにそれらの知見に基づいて，ケミカル・バイオロジーの手法を用いて特定の遺伝子の発現を調節する分子の設計をめざす。具体的には
を主なテーマとして研究を行っている。DNA上のミクロの化学反応からマクロの構造変化に至る総合的なテーマ設定のもと，ポストゲノム時代，即ち，化学と生物の融合の時代に先駆けた独創的研究を目指す。 学生に対する評価：卒業研究であるので，一年間の総合的な研究姿勢，研究業績で評価する。 17 遺伝子動態学（5616）細胞分子生物学分野の研究における現状の知見の系統的な理解，遺伝子操作に代表される基礎的実験技術，実験計画の立て方とその結果の評価法，など現代生命科学の実験研究の基本を身につけさせることを目的として，セミナー，実験を行う。 学生に対する評価：平常点（セミナー出席等）と発表および一年間の総合的な研究姿勢・研究成果をもとに行う。 |
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| © Kyoto University 2008 |
