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■京化■京都大学理学部化学科・京都大学大学院理学研究科学専攻

有機化学分科

有機化学に革命をもたらす斬新な反応を求めて

この世に何千万種類とある有機化合物は有機反応によって合成されている。有機反応がなければ有機化学という学問は成立しない。我々は、斬新な有機反応の開発を通じて有機化学に革命をもたらすべく、「分子との対話」を楽しんでいる。対話によりスムーズに研究が進み、有用な反応を開発できることもある。一方で思いがけない結果や発見を分子から教えてもらい、そこから真に斬新な反応が導きだされることも多い。これが有機反応化学の醍醐味でもある。

深く、広く有機化学を楽しむ

本研究室は、主に遷移金属を触媒とする斬新な有機反応やヘテロ原子の特性を活かした新反応の開発を手がけている。分子変換および反応機構の革新性を追求した理学的要素の強い研究である。計算化学者との連携も密にとり、有機反応の要である反応機構の解明にも力を注いでいる。一方で、有機化学という学問の特性上、生物活性物質や有機エレクトロニクス材料の合成など他分野への波及効果を意識した展開も自然発生的に行っている。グラフェンをはじめとする原子層の科学にも有機化学的アプローチを図り、物理学者との共同研究も進めている。有機化学の可能性は無限である。

研究例1:硫黄を基盤とする有機合成

硫黄は生体に必須の元素であり、生物活性や光・電気特性発現の源として有機化学で重要な地位を占めている。我々は「有機硫黄化合物の新規合成法」と「硫黄化合物の新規触媒的変換」を両輪として、酸素やハロゲンを汎用する従来の有機合成では達成できない「硫黄の特性を活かした有機合成」の確立を目指している。例えば、フェノールとビニルスルホキシドから一段階でベンゾフランを構築する我々独自の手法は、抗腫瘍活性をもつEupomatenoid類や有機EL用青色発光材料の迅速多様性指向合成に利用できる。

研究例2:芳香環リフォーム

ベンゼンをはじめとする芳香環は安定であり、「一度作ったら壊さない、壊れない」が有機化学の常識である。我々は芳香環を一部壊し、再構築する「芳香環リフォーム」を有機合成の新規合成戦略として確立するべく研究を行っている。例えば、新規触媒反応を開発することで、ジベンゾチオフェンからトリフェニレンへの芳香環リフォームに成功した。ナノサイズのグラフェン様巨大π電子系分子の創出への応用も目指している。

研究例3:高原子効率型反応開発と触媒的不斉合成

炭素−炭素または炭素−ヘテロ原子結合形成を伴うH–X (X = C, O, N, etc.) 結合の不飽和結合への付加反応、いわゆるヒドロ官能基化反応は、入手容易な出発原料から様々な炭素骨格やアミン、アルコール、エーテル、エステルなどの官能基をもつ有機化合物を短工程で合成できる有用な手法であり、余分な廃棄物を出さない環境調和型の反応である。この理想的な反応開発を目指して,芳香族化合物C–H結合のアルケン類への触媒的な付加反応をおこなっている。特に、光学活性化合物の合成を指向した反応開発を目的としている。

不斉合成研究は生体機能解明のための有力手段の一つになりつつあると同時に、生体反応に迫り、それを超える一般性の高い光学活性体の合成を実現する、現代精密有機化学の中で魅力的な研究領域の1つである。そのような触媒的不斉合成を実現するため、a) 新しい高立体選択的な不斉環境のデザイン・構築、b) 新しい触媒反応の開発、c)触媒反応中間体モデルとしての有機遷移金属錯体の研究、を行っている。

(最終更新日;2017年04月03日)

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