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■京化■京都大学理学部化学科・京都大学大学院理学研究科学専攻

固体物性化学分科

教授 北川 宏 准教授 前里 光彦 助教 大坪 主弥

錯体化学と固体プロトニクス

金属錯体は、多様な触媒機能を有し、活性化エネルギーを下げることによって、反応に必要とするエネルギーを低減化している。また生体系では、多種の機能性錯体分子(イオン)により効率よくエネルギー代謝が行われている。

他方、水素は、クリーンなエネルギー源として「環境の21世紀」を担うものと期待されている。材料科学分野では、水素が固体中に侵入し、結晶構造や組織を変化させ、特性を向上させるなど、水素が有能なプロセス機能を持つことが報告され、水素を積極的に利用しようとする科学・技術が注目されている。

我々は、金属イオンを有機配位子で架橋した金属錯体(配位高分子)を利用して、水素分離、水素吸着・乖離、水素酸化、プロトン伝導などが関わる、電子と水素の融合科学「固体プロトニクス」の創成を目指している。

さらに、新規機能性や物性の発現を目指し、無機化合群を中心として、低次元強相関電子系、強い負U相互作用を有する混合原子価物質、配位高分子、金属ナノ粒子、水素吸蔵物質、超プロトン伝導体、有機伝導体などの研究を行っている。

主な研究課題

固体プロトニクス
金属イオンと配位子からなる無限鎖の骨格は、配位高分子と呼ばれ、内部にできるナノサイズの空間を利用した研究が盛んに行われている。我々は配位高分子に酸性基を導入することによって解離性のプロトンを導入し、高いプロトン伝導性を示すことを見出した。ナノメートルサイズの小さな細孔中には、多量の水分子が存在し、これらが媒介することにより、有機ポリマーに匹敵するほどの高いプロトン伝導性が観測された。
低次元電子系
一次元電子系に代表される低次元電子系においては、移動積分、クーロン斥力、電子格子相互作用などの各種相互作用が競合することで二次元、三次元の系とは異なる多彩な物性を発現することで知られている。当研究室では理想的な一次元電子系を構築し、多彩な電子状態、物性を発現することで知られる一次元ハロゲン架橋金属錯体を基盤とした次元性制御の観点から、一次元鎖(Chain)の数を系統的に変化させた新規化合物の構築及び物性探索を行っている。

ナノ物質
我々はサイズ・構造・組成を精密制御したナノ微粒子を設計・合成し、新規高密度水素吸蔵ナノ物質、超イオン伝導ナノ物質、高機能電極ナノ触媒などを創製することで、「水素社会」の実現に向けた基盤の確立を目標にしている。
分子性導体

酸化あるいは還元された有機低分子は、磁性や伝導性などの物性を示す。固体中での分子の配列様式や分子間の相互作用によって、発現される物性は多様な様相を呈する。我々は、次元性・幾何学的フラストレーション・多重機能性をキーワードとして、興味深い物性を示す分子性伝導体の研究を行っている。例えば、2次元三角格子系においてスピン液体を発見し、隣接する圧力誘起超伝導との関係を調べている。


(最終更新日;2015年09月28日)

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