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■京化■京都大学理学部化学科・京都大学大学院理学研究科学専攻
 

齋藤軍治名誉教授 紫綬褒章受章

この度、学術の向上発展のため顕著な功績を挙げられたことにより、齋藤軍治名誉教授(平成20年3月 化学教室をご退職)が、平成21年4月29日に紫綬褒章を受章された。以下に齋藤先生のご略歴および業績等を紹介する。写真は、齋藤研同窓生が主体となり同年10月3日に開催された受章記念祝賀会よりご提供頂いたものである。

齋藤先生は、昭和42年北大理学部をご卒業後、同47年同大学理学研究科博士課程を修了され理学博士の学位を取得された。その後、同48年から52年に米国、カナダの大学において博士研究員、同54年分子研助手、同59年東大物性研助教授、平成元年本学理学部化学科教授、同7年本学理学研究科教授、同18年から20年まで本学低温物質科学研究センターのセンター長を務め、同20年に定年退職され、京大名誉教授の称号を授与された。その間、平成14年から19年まで21世紀COE京大化学連携研究教育拠点の拠点リーダー、同8年から16年まで文科省学術国際局の科学官、同17年から学振の国際事業委員、同18年から同会の主任研究員(化学)、同19年からJSTのプログラムオフィサーを務めるなど、我が国の学術研究の発展に大きく貢献された。また、同20年より学振の産学協力研究委員会第181委員会「分子系の複合電子機能」の代表者として、産学連携にも尽力されている。本学退職後は、名城大学総合研究所教授として研究活動を続け、今日に至っている。

齋藤先生は、永年にわたって化学と物理学の境界領域である物性化学の教育・研究に務め、特に有機低分子を主体とした機能性有機材料の開発を行い、先駆的な研究業績を数多く挙げられた。例えば、金属・イオン性錯体・中性錯体を作り分ける設計原理図の導出、極低温まで安定な金属導電性を示す2次元有機導電体の開発、昭和63年には10 Kを超える転移温度をもつ有機超伝導体を世界で初めて開発された。さらに、有機物でのフェルミ面初観測、非BCS型有機超伝導体の実験的証拠の発見など、分野の研究を常に先導してきた。その他にも独自の発想による幅広い研究を展開され、700報を超える原著論文や70編を超える総説・著書を出版され、機能物質化学研究における基礎科学の発展に多大な功績を挙げられた。これらの一連の研究業績により、第4回 井上学術賞、第34回 仁科記念賞、日本表面科学会論文賞、第56回 日本化学会賞、BCSJ論文賞を受賞されている。今回の受章は、以上のような功績が高く評価されたものである。

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