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■京化■京都大学理学部化学科・京都大学大学院理学研究科学専攻
 

平成24年度 教科内容

講義・演習・セミナー

  • 科目番号1000位‐対象とする回生
    • 1000番台‐1回生向
    • 2000番台‐2回生向
    • 3000番台‐3回生向
    • 4000番台‐4回生向
  • 科目番号100位‐担当教室
    • 0〜99番‐共通又は専門基礎科目
    • 600番台‐化学教室
科目番号
科目名
1053
現代化学セミナーA [Modern Chemistry Seminar A]
配当学年 1回生以上 単位数 2 開講期 前期 曜時限 火5 授業形態 講義
担当者 橋本 卓也 准教授
授業の概要・目的 最先端の化学研究について、いくつかのトピックスを例示しながら解説し、現代社会を支える化学の重要性について理解を深める。特に有機化学と医学、生物学、機能性材料、エレクトロニクス、環境問題などの他の分野との関連について重点をおいて講義する。
授業計画と内容 以下の課題について1課題あたり2週程度の授業をする予定である。
有機化学概論
有機金属化学とクロスカップリング反応
キラル化学
有機材料(高分子化学)
有機材料(ナノマテリアル)
バイオイメージング
有機化学と環境化学
履修要件 特になし
成績評価の方法・基準 主に期末のレポートで評価を行い、出席点も加味する。
教科書 プリントなどを配布する。
参考書等 大嶌幸一郎『基礎有機化学 第2版』(東京化学同人)
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 オフィス・アワーは特に定めないが、講義時間外に直接話をしたい学生は依光(yori@kuchem.kyoto-u.ac.jp)まで学生番号、氏名を明記してメールすること。
※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
1054
現代化学セミナーB [Modern Chemistry Seminar B]
配当学年 1回生以上 単位数 2 開講期 後期 曜時限 火5 授業形態 講義
担当者 金森 主祥 准教授
授業の概要・目的  本セミナーでは、表面化学研究の歴史と現状、最新の研究成果について、分光学的手法を用いた実験を中心として紹介する。
 表面化学は、固体表面に吸着した分子や原子の構造や電子状態、反応性等を調べる分野として発展してきた。これらの知見は、触媒反応やナノテクノロジーの基礎としても非常に重要である。表面吸着種の観測には、電子状態や分子振動などを観測する種々の分光法が用いられてきた。また最近では、超短パルスレーザーを用いた時間分解分光法を用いることで、フェムト秒の時間スケールで表面吸着種のダイナミクスを観測できるようになっている。講義では、これらの実験手法の解説と、代表的な研究例について、英語文献を用いながら解説する。
授業計画と内容 以下のような課題について、1課題あたり1~3週の授業をする予定である。
1. 表面化学の意義、金属結晶表面の構造と電子状態
2. 真空技術と真空中での表面試料の扱い
3. 光と分子の相互作用の基礎
4. 表面の電子状態を調べる分光法
5. 表面の分子振動を調べる分光法
6. 局所プローブを用いる分光法
7. 超短パルスを用いた分光法
8. 最近の研究例
履修要件 特になし
成績評価の方法・基準 出席、小テスト及び期末レポートで評価する。
教科書 使用しない
参考書等
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 ※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
2600
有機化学IA [Organic Chemistry IA]
配当学年 2回生以上 単位数 2 開講期 前期 曜時限 金1 授業形態 講義
担当者 白川 英二 教授
授業の概要・目的 理科系学生(特に理学部2回生)を対象として,まずは有機化学に興味を持たせる。すなわち,有機化学とは何か,自然界や実社会とどのように結びついているかについて説明する。有機化合物ができたり、ほかの物に変化する、いわゆる有機化学反応が起こるにはそれなりの理由がある。そういった反応の羅列ではなく考える有機化学の基礎について講義する。教科書には P. Y. Bruice「ORGANIC CHEMISTRY」(第6版)を用い、第1章から第6章まで講義するが、必要に応じて最近の論文からの引用や参考プリントの配布を行う。
授業計画と内容 以下のような課題について、1課題あたり1〜2週の授業をする予定である。
 1. 有機化学の面白さと自然界との結びつきについて
 2. 有機化合物の構造や官能基をどのように表示するか
 3. 有機化合物の電子構造、量子力学と原子オービタル、分子オービタルと結合、混成オービタルと結合角について
 4. 有機化合物の種類と命名法
 5. 反応機構の表わし方(電子移動に伴う矢印の使いかた)
 6. アルケンの特徴的な反応
 7. 分子の形−立体化学(三次元分子の表示、非環式および環式化合物の配座)
 8. 幾何異性とキラリティー
 9. アルキンの特徴的な反応
履修要件 高等学校で「化学」を習得していることが望ましい。
成績評価の方法・基準 定期試験、レポートおよび出席状況により評価する。
教科書 P.Y. Bruice 『ORGANIC CHEMISTRY, Sixth Edition』(PEARSON EDUCATION)ISBN:978-0-321-69768-4
参考書等
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 積極的な授業参加を希望する。できるだけ授業後にレポートを課すので、次回授業開始時に必ず提出すること。オフィス・アワーは特に定めないが、講義時間外に直接話をしたい学生は、丸岡(maruoka@kuchem.kyoto-u.ac.jp)までメールで連絡すること。
※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
2601
有機化学IB [Organic Chemistry IB]
配当学年 2回生以上 単位数 2 開講期 後期 曜時限 金1 授業形態 講義
担当者 白川 英二 教授
授業の概要・目的 理科系学生(特に理学部2回生)を対象として,有機化学IAに続いて有機化学反応の基礎学力を身につける。有機化合物ができたり、ほかの物に変化する、いわゆる有機化学反応が起こるにはそれなりの理由がある。そういった反応の羅列ではなく考える有機化学の基礎について講義する。教科書には P. Y. Bruice「ORGANIC CHEMISTRY」(第6版)を用い、第7章から第10章まで講義するが、必要に応じて最近の論文からの引用や参考プリントの配布を行う。
授業計画と内容 以下のような課題について、1課題あたり1〜2週の授業をする予定である。
 1. 逆合成について
 2. 芳香族化合物の構造と電子状態、共鳴混成体と共鳴安定化について
 3. アリル、ベンジルカチオンやラジカルの安定性について
 4. ジエンの命名法と幾何異性および反応性、共役ジエンの親電子付加反応
 5. 共役ジエンを用いるディールズ・アルダー反応
 6. ハロゲン化アルキルの置換反応
 7. ハロゲン化アルキルの脱離反応
 8. アルコール、アミン、エーテル、エポキシドや硫黄化合物との反応
履修要件 有機化学1Aを習得していることが望ましい。
成績評価の方法・基準 定期試験、レポートおよび出席状況により評価する。
教科書 P.Y. Bruice 『ORGANIC CHEMISTRY, Sixth Edition』(PEARSON EDUCATION)ISBN:978-0-321-69768-4
参考書等
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 積極的な授業参加を希望する。できるだけ授業後にレポートを課すので、次回授業開始時に必ず提出すること。オフィス・アワーは特に定めないが、講義時間外に直接話をしたい学生は、丸岡(maruoka@kuchem.kyoto-u.ac.jp)までメールで連絡すること。
※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
2602
物理化学I(量子化学) [Physical Chemistry I (Quantum Chemistry)]
配当学年 2回生以上 単位数 2 開講期 前期 曜時限 火2 授業形態 講義
担当者 鈴木 俊法 教授
授業の概要・目的 電子・原子・分子といった微視的粒子の性質は量子力学で記述されます。そこで化学や原子分子を扱う物理科学分野では、量子力学によって分子がどの記述されるかが必須の知識となります。例えば、有機化学者も積極的に量子化学計算を利用して反応経路を探索する時代です。本講義と化学教室で3回生の通年の講義として行われる量子化学1&2はカリキュラムが接続します。全部合わせると1年半で量子力学の基礎から分子内の電子を記述する分子軌道法までを学ぶことになっていますが、その中で本講義では解析解が導ける水素原子や近似法の初歩までを学びます。2回生を想定した講義ですが、学年を指定するものではありません。1回生であっても受講することには特に問題はありません。興味や学力に応じて自由に受講してください。
授業計画と内容 量子論の誕生から、量子力学の基本原理、1次元問題、調和振動子、剛体回転子、水素原子など解析的に解くことの可能な簡単な問題を議論します。それぞれのテーマに1-2回の講義をあてます。次に、解析解の得られない問題について近似的に解く方法として、変分法や摂動論に触れる予定です。必要な数学的な知識や式の導出は教科書に丁寧に書いてあります。講義では多少順序は変わりますが、ほぼ教科書の通りに勉強を進めていきます。
履修要件 特になし
成績評価の方法・基準 出欠は取りません。成績評価(優、良、可、不可の4段階)はレポート・小テスト・定期試験を総合して行います。
教科書 Donald A McQuarrie 『Quantum Chemistry 2nd edition』(University Science Books)ISBN:978-1-891389-50-4(2010年の講義はこの本に沿って行いました。)
マッカリー サイモン『物理化学(上)』(東京化学同人)ISBN:4-8079-0508-2(McQuarrieのQuantum Chemistryと内容が非常に似通っており、手に入りやすいです。)
参考書等 McQuarrie and Simon 『Physical Chemistry』(University Science Books)ISBN:0-935702-99-7(英語の原著です。)
(関連URL)http://j-molsci.jp/archives/index.html(非常に有益な量子化学の講義ノートがここにあります。無料です。)
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 今年度からこの物理化学1は前期に開講となり、量子化学1&2は3回生前期からとやや変則的なカリキュラムになっています。本講義の後、2回生後期には物理化学演習を受講して、量子論を忘れずに3回生に勉強を繋げることを勧めます。
※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
2603
量子化学I [Quantum Chemistry I]
配当学年 単位数 2 開講期 後期 曜時限 月2 授業形態 講義
担当者 林 重彦 准教授
授業の概要・目的
授業計画と内容
履修要件
成績評価の方法・基準
教科書
参考書等
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等
2604
無機化学I [Inorganic Chemistry I]
配当学年 2回生以上 単位数 2 開講期 後期 曜時限 木2 授業形態 講義
担当者 吉村 一良 教授
授業の概要・目的 周期表や元素の成り立ちなど,無機化学の基礎を量子力学的な観点から後述する.特に角運動量と磁気モーメントの量子力学に注目して説明し,遷移金属イオンの電子状態や磁気的性質まで概説する.後半では,有効核電荷,電気陰性度,化学結合論と進んでいく.
授業計画と内容 化学の基本となる“周期表”を中心に,元素の性質(電子状態,原子およびイオンの大きさ, イオン化エネルギー,電子親和力,電気陰性度など)を量子力学的に論述する.特に、角運動量・磁気モーメントの量子力学によって遷移金属などの電子状態について概説する.また,簡単な分子および結晶の構造と化学結合を説明する.水および非水溶媒中における簡単な無機反応を取り上げ, その平衡および酸化・還元,酸・塩基などについても講述する.
1章 原子の構造
  1.1 はじめに
  1.2 水素の原子スペクトルの古典的説明
  1.3 量子力学序論
   1.3.1 ド・ブロイの関係
   1.3.2 不確定性原理
   1.3.3 シュレディンガー方程式 —一次元の箱の中の粒子—
  1.4 水素類似原子の電子構造
   1.4.1 シュレディンガー方程式の解
   1.4.2 水素原子の電子構造
   1.4.3 運動量のベクトル模型と磁気モーメント
   1.4.4 角運動量の量子力学
   1.4.5 電子スピンとスピン・軌道相互作用
  1.5 多電子原子の電子状態と周期表
   1.5.1 多電子原子のエネルギーレベル
   1.5.2 角運動量の合成
   1.5.3 フント結合とJJ結合
   1.5.4 磁性イオンとフント則
   1.5.5 交換相互作用
   1.5.6 フント結合と結晶場分裂 —Low Spin State vs High Spin State —
   1.5.7 結晶場と軌道角運動量の消失
2章 元素の一般的性質と周期律
  2.1 有効核電荷(有効原子番号)
  2.2 原子とイオンの大きさ
   2.2.1 原子半径
   2.2.2 イオン半径
   2.2.3 共有結合半径
  2.3 イオン化エネルギー(+イオン化エンタルピー)
  2.4 電子親和力(−イオン化エンタルピー)
  2.5 電気陰性度
   2.5.1 Paulingの電気陰性度
   2.5.2 Mullikenの電気陰性度
   2.5.3 Allred-Rochowの電気陰性度
   2.5.4 Sandersonの電気陰性度
   2.5.5 電気陰性度の化学結合への応用とその後の発展
3章 分子および固体結晶の構造と化学結合
  3.1 分子の化学結合に関連した実験事実
  3.2 分子の形(構造)の古典的理解—八隅則とVSEPR則—
  3.3 簡単な無機結晶の構造
  3.4 イオン結合
  3.5 化学結合の量子論
4章 溶媒および酸・塩基
  4.1 物質が溶解するとは?
  4.2 溶媒としての水と水和
  4.3 溶媒としてのアンモニアと硫酸
  4.4 酸と塩基
履修要件 特になし
成績評価の方法・基準 期末試験,レポートと出席の総合評価.
教科書 使用しない
プリントを配布し,教科書の代わりとする.
参考書等 D. F. Shriver, P. W. Atkins, C. H. Langford 『Inorganic Chemisty』(Oxford Press)((訳あり)東京化学同人)
J. E. Huheey 『Inorganic Chemistry』(Harper Collons)((訳あり) 東京化学同人)
R. T. Sanderson 『Inorganic Chemistry』(Reinhold Pub.)((訳あり)広川書店)
(関連URL)http://ocw.kyoto-u.ac.jp/faculty-of-science-jp/inorganic-chemistry1(京大OCW)
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 オフィスアワーは定めないが、講義内容に関連する質問は随時受け付ける。
連絡先:理学研究科6号館281号室
kyhv@kuchem.kyoto-u.ac.jp
※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
2605
物理化学II [Physical Chemistry II]
配当学年 2回生以上 単位数 2 開講期 後期 曜時限 火1 授業形態 講義
担当者 寺嶋 正秀 教授
授業の概要・目的 本講義では,熱力学及び統計力学の基礎を学ぶ。化学現象を理解するためには,個々の原子・分子の微視的な特徴を知ると共に,その集合体である巨視的な物質の振る舞いを考察することが必要となる。本講義の主題である熱力学及び統計力学は、後者の巨視的な分子集合体の振る舞いを記述する簡潔な枠組みを与える。本講義を通じて,巨視的な物質の性質を規定する基礎概念(温度・仕事・熱・エネルギー・エントロピー等)を理解し,さらにそれらの概念の特徴により導き出される理論体系,及びその物理化学的現象への適用の基礎を学ぶことを目的とする。
授業計画と内容  以下のような課題について、1課題あたり1〜2週の授業をする予定である。
1. 気体の性質(理想気体の状態方程式,Maxwell 分布)
2. 熱力学第一法則の概念(仕事・熱・エネルギー,エンタルピー)
3. 熱力学第二法則の概念(自発変化,エントロピー,自由エネルギー)
4. 熱力学の形式論(熱力学の要請と構造,ルジャンドル変換,Maxwell の関係式)
5. 統計力学の基礎(等重率の原理,状態数と Boltzmann エントロピー,カノニカル分布,等分配則,Gibbs エントロピー)
6. 熱力学の方法論(微分係数の性質,Maxwell の関係式の応用)
7. 純物質の相転移(相図,相の安定性と相転移)  
履修要件 特になし
成績評価の方法・基準 小テスト・定期試験(筆記)の成績を総合して評価する。
教科書 使用しない
参考書等 梶本・寺嶋・佐藤『基礎物理化学』(培風館)
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 個別に予約をとって随時質問を受け付ける
※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
2606
生物化学IA [Biochemistry IA]
配当学年 2回生以上 単位数 2 開講期 前期 曜時限 月1 授業形態 講義
担当者 板東 俊和 准教授
竹田 一旗 講師
授業の概要・目的 生体において生命の基本単位である細胞の概要を広く理解する事を目的とする。特に、細胞がエネルギーを得る仕組み、呼吸や光合成でのエネルギー生産について学ぶ。
授業計画と内容 板東俊和:前半7週
有機化学、生物化学の観点から細胞を理解できるように基本的な概念を一週毎に系統づけて解説する。
竹田一旗:後半7週
ミトコンドリアにおけるATP合成、葉緑体における光合成は生命活動の根幹であり、講義では、それらのエネルギー生産について分子レベルの知見を解説する。
履修要件 特になし
成績評価の方法・基準 出席,及び,講義中に行う小テスト・レポート等により評価する。
教科書 使用しない
参考書等 中村桂子・松原謙一『細胞生物学』(南江堂)ISBN:4-524-23927-8(これから生物化学IB, II, IIIと学ぶ学生には必要です。)
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 ※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
2607
生物化学IB [Biochemistry IB]
配当学年 2回生以上 単位数 2 開講期 後期 曜時限 月1 授業形態 講義
担当者 三木 邦夫 教授
授業の概要・目的 生物が生命維持に必要な生体内の化学反応のメカニズムを知るために,細胞内ではたらく生体(高)分子について(とくに生体内化学反応のほとんどをつかさどるタンパク質を中心に),それらの構造に基盤をおいてそれぞれの働きを理解することを目的とする.生体内化学反応のほとんどをつかさどっているタンパク質は,ある一定の立体構造を保つことでその機能が発現される.したがって,その構造を知ることは,どのように機能を発現させるかを知る上で非常に重要である.まず,生体高分子を形成するアミノ酸,ペプチド,糖,塩基,ヌクレオチドなどの基本的単位の構造や性質を学んだ上で,さらに複雑な核酸,タンパク質やその複合体の構造の基本的なしくみを理解する.とりわけ,タンパク質の立体構造の形成が,酵素反応をはじめとする生体内反応や細胞内の情報伝達において,どのようにして各々のタンパク質に固有の機能を生み出すのかということを解説する.
授業計画と内容 以下のような課題について,1課題あたり1〜3週の授業を行う予定である.
1.生体内で働く分子の基礎知識:生体内で働く分子と化学結合
2.生体内で働く小分子と巨大分子:糖,脂質など
3.核酸の構成成分と構造
4.タンパク質の構造と機能:タンパク質のさまざまな働き
5.タンパク質の構造と機能:タンパク質が折れたたむしくみ
6.タンパク質の構造と機能:タンパク質の階層構造(構造の基本単位,タンパク質のかたち)
7.タンパク質の構造と機能:タンパク質の働くしくみ(触媒としての働き,分子認識,免疫,調節機構,協同性など)
8.生化学的研究法:細胞,生体高分子の単離,精製法
9.生体高分子の構造(構造生物学)についての最近の話題
履修要件 特になし
成績評価の方法・基準 期末の試験による.授業中に小テストを行い,評価に組み入れることもある.
教科書 Bruce Alberts 他(中村桂子・松原謙一/監訳) 『Essential 細胞生物学(原書第2版)』(南江堂)ISBN:4-524-23927-8
参考書等 Bruce Alberts 他(中村桂子・松原謙一/監訳) 『細胞の分子生物学(第5版)』(Newton Press)ISBN:4-315-51867-2
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 面談等を希望する場合は事前に連絡の上,アポイントメントを取ること.
メールでの連絡先:miki@kuchem.kyoto-u.ac.jp
※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
2608
入門化学実験 [Introduction to Chemical Experiments]
配当学年 2回生以上 単位数 2 開講期 後期 曜時限 月3,4 授業形態 実験
担当者 吉村 洋介 講師
山田 鉄平 助教
奥山 弘 准教授
授業の概要・目的 さまざまな基礎的、基本的な化学現象を実際に観察・操作することを通じて、化学の世界の広がりに触れ同時に実験手法を体得することを目指す。分野横断的な視点を大事にしながら、(1)無機化学・元素の化学、(2)相平衡・物質分離の化学、(3)電気・コロイドの化学、(4)有機化学・化学反応の世界という構成をとる。身近な化学現象を積極的に取り入れ、装置の自作の要素も折り込みながら、これまで化学実験になじみのなかった学生にも“化学の空気を呼吸できる場”を提供する。
授業計画と内容 以下のような課題について、1課題あたり1〜2週の実習を行う。
1. 液体空気:低温における空気の状態変化と温度測定
2. 典型元素の性質と反応:イオウ・リンの同素体と化学反応
3. 無機金属錯体の合成と性質:コバルト・銅等の化合物の合成と反応
4. 物質の分離・抽出:カフェインの抽出・精製
5. 結晶化による物質分離:ピクレート生成による分離とクロマトグラフ
6. グリーン・ケミストリー指向の有機合成
7. 電気分解:ボルタンメトリーによる電極反応の検討
8. コロイド溶液:疎水コロイドの調製と凝析
9. 染料・染色:レーヨン糸の作成と染色
10. 分子間錯体:キンヒドロンの合成とpH測定への応用
11. 糖の化学:ショ糖の転化と反応
12. 光と化学反応:ベンゾフェノンの光還元
13. 複合反応の世界:自己触媒反応・化学振動反応
今城は有機化学的な課題、奥山は無機・電気化学的な課題を中心に指導を担当し、吉村は課題全般にわたる調整・指導に当たる。
履修要件 特になし
成績評価の方法・基準 レポート、出席状況による総合評価。
教科書 実験に当たって配布する。
参考書等 授業中に紹介する
(関連URL)http://kuchem.kyoto-u.ac.jp/ubung/10jueb/10jueb.htm(2010年度入門化学実験のページ)
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 前期と後期は同じ内容であり、4月に履修者の前期と後期への振り分けを行う。履修希望者が多数の場合は、履修制限をすることがある。
※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
2609
物理化学演習A [Exercises in Chemistry A]
配当学年 2回生以上 単位数 2 開講期 後期 曜時限 水1 授業形態 演習
担当者 熊崎 茂一 准教授
授業の概要・目的 化学の諸現象を原子・分子のレベルで理解するために基礎となる量子力学と量子化学の基礎と応用を習得するための演習である。遅くとも授業1週間前には予め問題を配布するので、学生各自で解答し、代表する学生が板書する。教員は板書された解答を検査、講評し、必要な追加解説を行う。解答合わせの終了した分のレポートを毎週授業直後に提出してもらう。量子力学と量子化学の基礎理論、原子や分子の電子構造、分子軌道法にわたる領域を含む。物理化学I(量子化学)[後期]、量子化学I[前期]にほぼ対応する演習である。
授業計画と内容 (1)初等量子力学 (物質波、原子モデル、イオン化エネルギー、仕事関数)
(2)自由運動と有限区間の波動方程式、不確定積、規格直交化
(3)量子力学の計算形式、演算子と対角化
(4)調和振動子、交換子、生成消滅演算子
(5)角運動量演算子 
(6)中心力ポテンシャル内の運動、球面調和関数
(7)水素原子
(7)電子スピン、回転行列、基底の変換、シュテルン−ゲルラッハの実験
(8)角運動量の交換関係、合成、スピン演算子 
(9)多電子系の取り扱い、多電子系の角運動量、スピン−軌道相互作用、スレーター行列式
(10)時間非依存摂動論、時間に依存する摂動問題、変分法 
(11)ヘリウム原子、水素分子、水素分子イオン
(12)等核二原子分子、異核二原子分子、項記号、三原子分子、電気陰性度、双極子能率
(13)分子軌道と対称性、吸収と発光の選択率、混成軌道
履修要件 初等的な量子化学(全学共通科目の基礎物理化学など)または量子力学を既に履修済み、または自習した経験を有する、あるいは並行して学習中であることが望ましい。
成績評価の方法・基準 板書による解答発表、レポート提出内容、問題批評、出席の総合点によって判定する。レポート提出は、各授業直後でなくても受理するがやや減点する。
教科書 使用しない
参考書等 D.A. McQuarrie & J.D.Simon 『物理化学(上)』(東京化学同人)ISBN:4807905082
小出昭一郎『量子力学(I)』(裳華房)ISBN:4785321326
小出昭一郎『量子力学(II)』(裳華房)ISBN:4785321334
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 初回の授業よりも1週間前以前に初回授業で解答合わせをする問題を配布するので、理学部掲示板および化学教室掲示板に注意しておくこと。授業中に質問しにくい場合でも授業後の時間は質問を受け付けやすいので、直接教員に質問することを薦める。オフィスアワー:金曜日16時-18時(なるべく事前に訪問を連絡すること)。
※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
2610
分析化学I [Analytical Chemistry I]
配当学年 2回生以上 単位数 2 開講期 前期 曜時限 水1 授業形態 講義
担当者 宗林 由樹 教授
授業の概要・目的
授業計画と内容
履修要件
成績評価の方法・基準
教科書
参考書等
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等
3601
生物化学II [Biochemistry II]
配当学年 3回生以上 単位数 2単位 開講期 前期 曜時限 月2 授業形態 講義
担当者 井上 丹 教授(生命科学研究科)
授業の概要・目的 現代生物学とその関連分野を理解するために必要な生化学、分子生物学の 基礎知識の修得を目的とする。概要は、「遺伝のメカニズム」「遺伝子操作」「生体内の信号伝達」「遺伝の分子機構」
授業計画と内容 現在の生物学の基礎となっている遺伝の分子機構および遺伝子の発現とその制御のメカニズムを解説する。分子生物学・生化学研究、バイオテクノロジーの研究に用いられている遺伝子操作実験の手法とその用法について、最新の技術を含め解説する。生物化学 I を受講していることを前提に、基本的事項の解説から始め、最先端の研究のいくつかについて実例をあげて解説する。
第一週は、オリエンテーション(講義内容についての詳細な説明)
履修要件 生物化学Iなど生物学の基礎科目を履修していることが望ましい
成績評価の方法・基準 定期試験・小テスト、出席による 基準は出席数と定期試験の成績
教科書 『Essential細胞生物学』(南江堂)
参考書等 『細胞の分子生物学』(教育社)
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 講義事前事後の受講者による講義内容の教科書による確認が必要。
※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
3602
生物化学III [BiochemistryIII]
配当学年 3回生以上 単位数 2 開講期 後期 曜時限 月2 授業形態 講義
担当者 秋山 芳展 教授(ウイルス研究所)
森博幸 准教授(ウイルス研究所)
授業の概要・目的 生命は遺伝子→遺伝子産物(タンパク質)→機能的複合体→細胞→ 組織・器官→個体 と言う階層構造でとらえることができる。一次元的な遺伝情報が如何にして、空間軸・時間軸に展開されて、立体構造や形態の形成と消長が制御されるのかと言う生物学の根本的な問いを背景に、現代の細胞生物学の最先端の課題をいくつかとりあげる。タンパク質の細胞内でのダイナミックな動態について、高次構造の形成から、細胞内のでの配置、細胞膜への組み込みや細胞内小器官の形成の諸問題や分解過程の制御などを含め、細胞を構築する仕組みを学ぶことを目的とする。
授業計画と内容 1 膜の構造 (森)
   1.1 脂質二重層、1.2 膜タンパク
2 小分子の膜輸送 (森)
   2.1 膜輸送の基本、2.2 能動膜輸送、2.3 膜の電気的性質
3 細胞内区画と生体高分子の輸送 (森)
   3.1 細胞の区画化、3.2 核ー細胞質間輸送、3.3 ミトコンドリアと葉緑体へのタンパク輸送、3.4 ペルオキシゾーム、3.5 小胞体
4 分泌とエンドサイトーシス (秋山)
   4.1 小胞体とゴルジ体経由の輸送、4.2 トランスゴルジ網からリソソームへの輸送、4.3 エンドサイトーシス、4.4 エキソサイトーシス
5 細胞骨格(秋山)
   5.1 細胞骨格の性質、5.2 中間経フィラメント、5.3 微小管、5.4 鞭毛と中心小体、5.5 アクチンフィラメント、5.6 アクチン結合タンパク、5.7 筋肉
6 細胞周期(秋山)
   6.1 細胞周期の概要、6.2 細胞周期の調節、6.3 細胞分裂の調節
履修要件 高等学校で「生物」を習得していることが望ましいが、必須ではない。
成績評価の方法・基準 平常点と年度末の試験
教科書 B. Alberts他『細胞の分子生物学』(Newton Press)
Essential 細胞生物学『南江堂』
講義プリントを配布する。
参考書等
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等  配布するプリントや参考書で予習し、積極的に授業参加することを希望する。
※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
3603
ケミカル・バイオロジー [Chemical Biology]
配当学年 3回生以上 単位数 2 開講期 前期 曜時限 月1 授業形態 講義
担当者 杉山 弘 教授
授業の概要・目的 DNAの構造、塩基配列の決定法、化学合成法、化学反応性、損傷のもたらす生物へのインパクトについて分子レベルで議論し、最新のケミカルバイオロジーの方法論による遺伝子の機能制御について紹介する。
授業計画と内容 以下のような課題について、1課題あたり2〜4週の授業をする予定である。
1.ケミカルバイオロジーの基礎1(DNAの構造、DNAの機能、RNAの構造、RNAの機能、タンパクの構造、タンパクの機能)
2.ケミカルバイオロジーの基礎2(DNAの合成と反応、RNAの合成と反応、タンパクの合成と反応)
3.ケミカルバイオロジーの応用1(DNAの測定と技術、RNAの測定と技術、タンパクの測定と技術)
4.ケミカルバイオロジーの応用2(DNAの認識、RNAの認識、タンパクの認識)
履修要件 1、2回生で「有機化学」を習得していることが望ましいが、必須ではない。
成績評価の方法・基準 講義の際の小テスト、定期試験によって評価する。
定期試験の成績(80%) 平常点評価(20%)
教科書 杉山 弘・板東俊和『基礎ケミカルバイオロジー』(化学同人)ISBN:9784759814705
参考書等 <ウィーバー『ウィーバー分子生物学』(化学同人)ISBN:9784759811568
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 毎回授業の終わりに課題を紹介するので、復習の材料とすること。
講義での疑問点等があれば、杉山(hs@kuchem.kyoto-u.ac.jp)までメールで連絡すること。なお、件名は「ケミカルバイオロジー ○月□日の疑問点」とし、本文中に自分の学生番号・氏名を明記すること。
※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
3604
化学実験法I [Methods of Chemical Experiments I]
配当学年 3回生以上 単位数 2 開講期 前期 曜時限 金5 授業形態 講義
担当者 矢持 秀起 教授 (低温物質科学研究センター)
授業の概要・目的 化学実験をおこなうために必要な安全の知識、薬品・器具の取り扱いを説明するとともに、実験のデータを処理する際に必要な誤差論などについて講義する。
授業計画と内容 2011年度は、4月8日の5限が化学教室のガイダンスの時間と重なりますので休講とし、15日から開講します。
 1. 実験のための基本的な注意
     レポート・論文の書き方、文献の調べ方
 2. 実験データの誤差、最小二乗法
 3. 天秤・測容器について
= 実験を安全に行うために =
 4.  危険な物質の取り扱い
     実験廃棄物の処理
 5.  応急処置法
= 有機実験基礎技術 =
 6. 文献の調べ方Chem.Abstr.(SciFinder)とBeilstein(Reaxys)
 7. 実験操作
     真空・加熱・冷却・溶解・撹拌・抽出・濾過・乾燥
     蒸留・再結晶・秤量・密度測定・温度測定・融点
 8. 有機合成における赤外分光法
 9. 有機合成におけるNMR
履修要件 化学実験A(科目番号 3639)と同時に履修する事が望ましい
成績評価の方法・基準 期末試験、レポート(期末試験日を期日とする小レポート)
教科書  特に教科書は指定はしませんが、授業計画の7.は、受講生諸君が下記参考書(5)を持参しているものとして講義します。また、講義中にスライドを用いて説明する部分の大半は、それに対応するプリントを配布します。
参考書等 (1) 『化学のレポートと論文の書き方』(化学同人)
(2) 『化学系のための実用数学』(朝倉書店)
(3) 『実験を安全に行うために』(化学同人)
(4) 『化学文献の調べ方』(化学同人)
(5) 『続・実験を安全に行うために』(化学同人)
(6) 『機器分析の手引き』(化学同人)
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 ※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
3605
化学実験法II [Methods of Chemical Experiments II]
配当学年 3回生以上 単位数 2 開講期 前期 曜時限 木3 授業形態 講義
担当者 吉村 洋介 講師
武田 和行 講師
授業の概要・目的 化学の分野で研究する際でも、化学の標準的な講義では通常学ぶことのないテクニカルな知識が研究の成否を左右することもあります。将来皆さんが化学の研究の現場でいい仕事ができることを願いつつ本講義では、エレクトロニクス、材料工学、統計的データ処理などの「分野外」とされかねない項目について講義し、これらが現場の化学研究において如何に活かされているか事例を踏まえて紹介します。
授業計画と内容 以下のような課題について、1課題あたり1〜2週の授業をする予定である。
1. 機器分析とセンサーについて
2. 分析のためのエレクトロニクス技術
3. 実験装置の制御・シミュレーター
4. パソコンを利用したデータの取り込み(以上担当 武田和行)
5. ひずみと応力(以下担当 吉村洋介)
6. 材料の強度
7. さまざまな材料
8. 確率・統計の初歩
9. 検定・推定の話
10. モデルへの当てはめの話
11. 分散分析・実験計画法の話
履修要件 特になし
成績評価の方法・基準 平常点および試験
教科書 使用しない
参考書等 授業中に紹介する
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 ※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
3606
無機化学IIA [Inorganic chemistry IIA]
配当学年 3回生以上 単位数 2 開講期 前期 曜時限 金1 授業形態 講義
担当者 奥山 弘 准教授
授業の概要・目的 無機化合物の性質についてのさまざまな知見は、いくつかの簡単なルールに基づいて整理し,理解することができる。本講義では典型元素の化合物を中心に,そのようなルールとその背景にある考え方を概説する。
授業計画と内容 以下のような課題について,1課題あたり2〜3週の授業を行う予定である.
1.元素の電子的性質(イオン化エネルギー, 有効核電荷)
2.イオン性固体(イオン結晶の種類と条件, Born-Landeの式, Born-Haberサイクル)
3.酸化・還元反応(反応係数の決定, 標準還元電位, ネルンストの式)
4.共有結合(水素原子モデル, 混成の考え方)
5.金属結晶(強束縛モデル, 自由電子モデル, エネルギーバンド)
6.逆格子(逆格子の定義と例, X線回折の原理, エワルト球, ラウエ法と粉末法)
履修要件 特になし
成績評価の方法・基準 定期試験の成績(90%) 平常点評価(10%)
教科書 使用しない
参考書等 キッテル『固体物理学入門(上)』(丸善)
メイアン『大学の化学I』(廣川書店)
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 質問は授業終了後に受け付ける.
講義時間外に質問などがある場合は,奥山(hokuyama@kuchem.kyoto-u.ac.jp)宛てに事前に連絡をとり,日時を調整してから受け付ける.
※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
3607
無機化学IIB [Inorganic chemistry IIB]
配当学年 3回生以上 単位数 2 開講期 後期 曜時限 金3 授業形態 講義
担当者 有賀 哲也 教授
授業の概要・目的 遷移元素を含む化合物は、狭義の無機化学の枠をはるかに超え、固体物理学・有機金属化学・生物無機化学など幅広い物質科学分野において、重要な研究対象となっている。本講義の目的は、幅広い物質科学の基礎として、遷移元素化合物の性質や、それに関連した基礎概念を理解、習得することにある。そのために、典型元素化合物との相違および遷移系列内での周期性に着目しつつ、開殻d軌道やf軌道に由来した化学結合の特徴、化合物の安定性と反応性、構造、磁性、熱物性などについて述べる。さらに、分子軌道の概念を拡張することにより、固体化合物の電気伝導性などのマクロな性質が理解できることを示す。
授業計画と内容 第1回
 1. 遷移元素の一般的性質
  共通する性質、周期的傾向、酸化状態による比較、電子配置による比較
第2〜4回
 2. 遷移元素の酸化状態と化合物の安定性
  酸化還元の熱力学、水溶液中での化合物の安定性、遷移元素化合物の酸化状態と安定性
第5〜9回
 3. 電子状態から見た遷移元素化合物の性質
  静電場モデルによる遷移元素化合物の電子状態、d軌道分裂が関与したさまざまな性質、遷移金属原子と配位子の化学結合、遷移元素化合物の構造、物性、反応性
第10〜12回
 4. 遷移元素化合物各論
  以上で述べてきた基礎概念が、実際の遷移元素化合物においてどのように現れるかをみる。生物無機化学、触媒化学、固体物性、錯体化学などさまざまな分野における典型例に基づいて述べる。
第13,14回
 5. 有機金属化合物
  金属と有機原子団の化学結合、オレフィン錯体、メタロセン、金属カルボニル、18電子則
履修要件 特になし
成績評価の方法・基準 期末試験
教科書 特定の教科書は指定しないが、 _必ず_標準的な無機化学の参考書を所持すること。
参考書等 B. Douglas 『Concepts and Models of Inorganic Chemistry』(Wiley)ISBN:0471629782
ヒューイ『無機化学(上下)』(東京化学同人)
シュライバー『無機化学(上下)』(東京化学同人)
ヒューイ、シュライバー等もできれば原書を勧める。多少とっつきにくいかもしれないが、しっかりと読めば翻訳の日本語よりも文意が明瞭であり、結果として理解が深まり、よく身に付く。
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 ※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
3608
物性化学I [Solid State Physics & Chemistry I]
配当学年 3回生以上 単位数 2 開講期 前期 曜時限 火2 授業形態 講義
担当者 吉村 一良 教授
授業の概要・目的 固体結晶が示す様々な性質を、熱力学ないしは原子論的立場から講述する.主な内容としては,Gibbsの自由エネルギーによって凝縮相(液相・固相(結晶))の熱力学を論じ,固相の結晶構造とその不完全性である静的格子欠陥(点欠陥、転位(ディスロケーション)など)と動的欠陥である格子振動,原子の拡散現象,相転移熱力学などについて論じ,物質の性質の原子論的な側面から理解する.図のプリントを多く配布し,例題などを解説しながら,物性研究の基礎についてわかり易く講述する.
授業計画と内容 主な内容は,凝縮層である固体結晶や液相の熱力学と平衡状態図論,結晶構造論と構造因子,結晶の不完全性(格子振動,格子欠陥:点欠陥,ディスロケーション,積層欠陥,ボイド)と格子振動の量子論的モデル(比熱のアインシュタイン・モデル,デバイ・モデル),結晶中の原子の運動(拡散現象),相転移熱力学(平均場近似やランダウの現象論を用いて)などである.
1章.固体結晶の熱力学と平衡状態図論 2章.固体の結晶構造と構造因子 3章.格子欠陥 4章.拡散(固体中の原子の運動) 5章.相転移熱力学
履修要件 特になし
成績評価の方法・基準 期末試験と出席の総合評価
教科書 テキストのプリント,図のプリントなどを配布し,教科書の代わりとする.
参考書等 C.Kittel 『キッテル「固体物理学入門」』(丸善)
中西・板東編『無機ファイン材料の化学』(三共出版)
P.Gordon著平野・根本訳『平衡状態図の基礎』(丸善)
太田恵造『磁気工学の基礎1』(共立全書)
B.ヘンダーソン『丸善の固体物性シリーズ1.格子欠陥』(丸善)
P.J.ブラウン『丸善の固体物性シリーズ2.結晶構造』(丸善)
近角聰信『強磁性体の物理(上)』(裳華房)
スタンリー『相転移と臨界現象』(東京図書)
中野藤生・木村初男 『相転移の統計熱力学』(朝倉)
J.Weertman・J.R.Weertman著中村訳『基礎転位論』(丸善)
カリティ『X線回折要論』(アグネ)
加藤範夫『回折と散乱』(朝倉)
ハリソン『固体論』(丸善)
青木昌治『応用物性論』(朝倉)
P.A.Cox 『固体の電子構造と化学』(技報堂)
『岩波講座現代物理学の基礎「物性1,2」』(岩波)
(関連URL)http://ocw.kyoto-u.ac.jp/faculty-of-science-jp/solid-state-chemistry-and-physics1(京大OCW)
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 オフィスアワーは定めないが,講義内容に関連する質問は随時受け付ける.連絡先:理学研究科6号館281号室,kyhv@kuchem.kyoto-u.ac.jp
※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
3609
物性化学II [Solid State Physics & Chemistry II]
配当学年 3回生以上 単位数 2 開講期 後期 曜時限 木5 授業形態 講義
担当者 北川 宏 教授
授業の概要・目的 固体の電子構造と諸物性についての関係を学ぶ。導電性、超伝導性、イオン伝導性、磁性、光学特性、相転移現象(金属−絶縁体、中性−イオン性、陽子−電子移動)などに関する講義を行い、固体物性化学について理解を深める。
授業計画と内容 身の回りの物質の大部分は、分子が集まってできている。現在知られている分子の種類は600万以上に達するといわれているが、これら多種多様な分子は100種あまりの原子の組み合わせからできている。物質科学は、分子構造(結晶構造)とそれを決めている電子構造(電子配置と軌道のポテンシャルエネルギー)の学問と言っても過言ではない。本講義では、化学結合論(共有結合、イオン結合、金属結合、分子間力、水素結合、配位結合など)やバンド理論を基礎として、これら元素の組み合わせに無限の可能性を秘める分子性固体を中心に、遷移金属酸化物、金属錯体、有機固体、ナノ粒子などについて、電子・イオン・スピンと外場(光、電場、磁場など)が織りなす固体物性(電子伝導性、磁性、イオン伝導性、光物性、誘電物性など)について基礎から最近のトピックスまで広く解説する。固体の性質や物性が何に由来しているのかを学ぶことが最終目標である。
履修要件 無機化学、物性化学I、物理化学を受講していることが望ましいが、必須ではない。
成績評価の方法・基準 試験で評価する。
教科書 使用しない
参考書等 COX著、固体の電子構造と化学。
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 木曜日15時〜16時半
※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
3610
化学統計力学 [Statistical Mechanics of Chemical Systems]
配当学年 3回生以上 単位数 2 開講期 後期 曜時限 火1 授業形態 講義
担当者 谷村 吉隆 教授
授業の概要・目的 1000万種以上ある分子がアボガドロ数個レベル織りなす化学現象は、その統計的性質を抜きにして理解することは不可能である。有機物超電導物質、たんぱく質折りたたみ、光合成の電子移動反応等、化学現象は物理学的な問題の宝庫であるが、化学において物理原理は単に過程を解析する者だけでなく、新たな物質を合成する者のとしても不可欠なものである。特に統計力学は化学や物理だけではなく、社会学や経済学まで幅広い適用範囲を持ち、問題解決能力を重視する理学を学ぶ者にとって、規範になる考え方が多い。本講義は化学や生物過程を解析するという実践的な立場から、比較的簡単な問題を例に、汎用性のある統計力学の理念を説き,そこから派生される自由エネルギー面や相転移などの概念を説明する。
授業計画と内容 以下のような課題について、1課題あたり2〜3週の授業をする予定である
1. 状態数とエントロピー
2. 調和振動子と二準位系のミクロカノニカル分布
3. 分配関数と自由エネルギー
4 古典系と量子系の分配関数と熱力学量
 4.1 N個の粒子系
 4.2 回転粒子系
5. 自由エネルギー面と相転移現象
6. グランドカノニカル分布(大正準集合) 
履修要件 2回生レベルの力学、量子力学、熱力学を理解している事が望ましい。
成績評価の方法・基準 試験(90%)、レポート、出席(10%)
教科書 講義録をhttp://theochem.kuchem.kyoto-u.ac.jp/tanimura/lectures/ にアップデートしていく。
参考書等 久保亮五『統計力学』(共立出版)
R. Waldram 『Theory of thermodynamics』(Cambridge University press)
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 ※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
3612
有機化学II [Organic Chemistry II]
配当学年 3回生以上 単位数 4 開講期 前期 曜時限 水2・木1 授業形態 講義
担当者 丸岡 啓二 教授
授業の概要・目的 教科書, P. Y. Bruice「ORGANIC CHEMISTRY」(Fifth または Sixth Edition), を用いて有機化学を基礎から学習する.本有機化学II では求核置換反応,脱離反応に関する Chapters 8, 9, 10, およびカルボニル化合物の反応を中心とするChapters 16, 17, 18 の内容を取り扱う.親電子付加反応や芳香族親電子置換反応などは有機化学IIIで学習する.
授業計画と内容 第1回 受講生の学力を把握するためのテスト
第2回〜第4回: Chapter 8: Substitution Reactions of Alkyl Halides
第5回〜第7回: Chapter 9: Elimination Reactions of Alkyl Halides Competition between Substitution and Elimination
第8回〜第10回: Chapter 10: Reactions of Alcohols, Ethers, Epoxides, and Sulfur-Containing Compounds. Organometallic Compounds
第11回〜第15回: Chapter 16: Carbonyl Compounds I: Nucleophilic Acyl Substitution
第16回〜第20回: Chapter 17: Carbonyl Compounds II: Reactions of Aldehydes and Ketones. More Reactions of Carboxylic Acid Derivatives. Reactions of α,β-Unsaturated Carbonyl Compounds
第21回〜第24回: Chapter 18: Carbonyl Compounds III: Reactions at the α-Carbon
第25回〜第28回:復習および期末試験
(注:上記の各Chapter番号は Fifth Edition に対応.)
履修要件 「有機化学 I」を習得していることが望ましいが,必須ではない.
成績評価の方法・基準 期末試験
教科書 P. Y. Bruice 『ORGANIC CHEMISTRY (Fifth Edition)』(Pearson Education)ISBN:0-13-199631-2
P. Y. Bruice 『ORGANIC CHEMISTRY (Sixth Edition)』(Pearson Education)ISBN:0-321-66313-6
参考書等
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 講義内容に関する疑問・質問があれば講義終了後に受け付ける.オフィスアワーは特に設けないが,質問は常に歓迎する.いつでも林教授室(6号館659室)に来てください.必要ならば電子メールにて予約も受け付けます.
※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
3613
有機化学III [Organic Chemistry III]
配当学年 3回生以上 単位数 4 開講期 後期 曜時限 火2,水2 授業形態 講義
担当者 大須賀 篤弘 教授
授業の概要・目的 有機化学の基礎を講義する。主な内容としては、共鳴、共役付加反応、芳香族性、芳香族化合物親電子置換反応、芳香族求核置換反応、酸化還元反応、転位反応、有機合成デザインの考え方などについて講述する。有機化学Iや有機化学IIを聴講していることが望ましいが、必須ではない。本講義は有機化学IIと一体になっており、両者をともに履修することが望ましい。
授業計画と内容 以下のような課題について、1課題あたり1〜2週の授業をする予定である。
1.共鳴、電子の非局在化、ベンゼン
2.共役ジエン、ベンゼンの水素化熱
3.共役と酸塩基平衡
4.ジエンへの親電子付加反応、反応速度支配生成物と熱力学支配生成物
5.ディールスアルダー反応、結合解離エネルギー、反応性と選択性
6.ラジカル反応、芳香族性
7.芳香族親電子置換反応1
8.芳香族親電子置換反応2
9.Friedel Crafts型反応
10.Sandmeyer反応、芳香族化合物の合成
11. 芳香族求核置換反応、ベンザイン中間体
12. 多環芳香族化合物
13. ヘテロ芳香族化合物
14. 酸化と還元の考え方
15. 還元反応1
16. 還元反応2
17. 酸化反応1
18. 酸化反応2
19. 転位反応1
20. 転位反応2
21. 転位反応3
22. ラジカル反応
23. 有機合成デザインの考え方1
24. 有機合成デザインの考え方2
履修要件 理学部科目「有機化学I」や「有機化学II」を聴講していることが望ましいが、必須ではない。
成績評価の方法・基準 筆記試験の成績(90%)、常時レポート問題を課すが、その提出状況も評価に加える(10%)
教科書 Paula Yurkanis Bruice 『Organic Chemistry, fifth edition』
参考書等
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 この講義は化学系学生を対象としており、基礎の基礎から始め、出来るだけ丁寧に解説する。個々の事象や反応よりは、有機化学における重要な考え方を中心に解説する。
毎回授業の終わりに簡単な問題を出すので、次回以降の講義までに解答のレポートを提出すること。担当するTAが詳しく解き方や考え方を教える予定である。この際、不十分なレポートでも早めに提出して正しい考え方を知ることで、効率的な学習ができるように工夫してある。
※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
3614
化学数学 [Chemical Mathematics]
配当学年 3回生以上 単位数 2 開講期 前期 曜時限 火1 授業形態 講義
担当者 安藤 耕司 准教授
授業の概要・目的 群論やフーリエ変換などの化学の分野で必要になる数学の講義を行う。これらは化学の分野での基礎となるばかりでなく、分子軌道をより分かりやすく理解し、光による電子遷移や振動遷移の選択則を導いたり、結晶や液体の構造解析をおこなったりする際に重要な役割を果たす。数学的厳密さよりも、直感的わかり易さを目指し、多くの知識を前提とせずに講述する予定である。
授業計画と内容 講義の前半においては群論とその応用について、多くの例題を交えながら進める。講義の後半では、フーリエ変換やラプラス変換について、具体的な化学への応用例を例題に用いて解説をおこなう。
1. 分子の形と対称操作
2. 群論の基礎と点群
3. 点群と記号
4. 表現と行列
5. 指標と指標表
6. 量子力学と群論
7. 分子軌道法への応用
8. 分光学への応用
9. フーリエ級数とフーリエ変換
10. X線回折とフーリエ変換
11. ラプラス変換
12. 確率過程
履修要件 特になし
成績評価の方法・基準 平常点(出席・レポート課題・小テスト,30%)と期末試験の成績(70%)による。
教科書 指定しない
参考書等 <アトキンス『物理化学(上)』(東京化学同人)
マッカリー・サイモン『物理化学(上)』(東京化学同人)
中崎昌雄『分子の対称と群論』(東京化学同人)
小出昭一郎『物理現象のフーリエ解析』(東京大学出版会)
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 オフィス・アワーは特に定めないが、講義時間外の質問等の連絡先については最初の講義で連絡する。
※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
3615
物理化学IIIA [Physical Chemistry IIIA]
配当学年 3回生以上 単位数 2 開講期 前期 曜時限 金2 授業形態 講義
担当者 寺嶋 正秀 教授
授業の概要・目的  熱力学の原理が溶液,化学平衡,化学反応にどのように応用されるかを学習する。化学においては,溶質と溶媒からなる溶液の性質が重要になるが,こうした状態を如何に取り扱うのか。あるいは気体分子がどのように運動して化学反応を起こすかなどを,熱力学と統計力学を用いて記述する方法を学ぶ。
授業計画と内容  以下のような課題について、1課題あたり1〜2週の授業をする予定である。
1. 溶液と熱力学
2. 化学平衡
3. 気体運動論
4. 化学反応速度論
5. 化学反応機構
6. 気相反応ダイナミクス
履修要件 物理化学IIを履修しておくことが必須である。
成績評価の方法・基準 小テスト・定期試験(筆記)の成績を総合して評価する。
教科書 使用しない
参考書等 D.A.McQuarrie・J.D.Simon 『Physical Chemistry』(University Science Books)
梶本・寺嶋・佐藤『基礎物理化学』(培風館)
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 個別に予約をとって随時質問を受け付ける
※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
3616
物理化学IIIB [Physical Chemistry IIIB]
配当学年 3回生以上 単位数 2 開講期 後期 曜時限 金2 授業形態 講義
担当者 松本 吉泰 教授
授業の概要・目的 物理化学の中心的テーマである,構造・物性・反応のうち,本講義では分子の構造とダイナミックスを体系的に理解するための基礎と,これを明らかにするための様々な分光学の原理と実験手法を概説する。このためには,電磁波(光)と物質との相互作用を理解した上で,さまざまな分子の定常状態間の遷移に基づくスペクトルと分子の構造との関係を吟味する。また,光によって励起された分子が行う運動を分光学的にどのようにとらえるかという動的な側面についても講述を行う。
授業計画と内容 具体的には,以下の項目を取り上げる。
1.序論
2.光の性質
3.光と物質との相互作用
4.分子の対称性
5.分子のエネルギー構造とスペクトル
6.核磁気共鳴
7.レーザーとレーザー分光
8.光化学とダイナミックス
履修要件 本講義では,量子力学の基礎,電磁気学,及び基礎的数学は既習であることが望ましいが,これらについては授業と演習によっても適宜補う。また,物理化学I(量子力学),化学数学,量子化学I,II,またはそれに準じる教科を履修していることが望ましい。
成績評価の方法・基準 授業ごとに課す課題のレポートと定期試験による。
教科書 使用しない
参考書等 D. A. McQuarrie and J. D. Simon 『Physical Chemistry』(University Science Books)
P.W. アトキンス『物理化学』(東京化学同人)
E. Hecht 『Optics』(Addison Wesley)
(関連URL)http://kuchem.kyoto-u.ac.jp/molspec/lecture/lecture_index.html(演習問題の回答など掲載)
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 メールで前もってアポイントメントをとること。
メールアドレス:matsumoto@kuchem.kyoto-u.ac.jp
※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
3617
量子化学I [Quantum Chemistry I]
配当学年 3回生以上 単位数 2 開講期 前期 曜時限 木2 授業形態 講義
担当者 林 重彦 准教授
山本 武志 助教
授業の概要・目的 多電子原子の電子状態及び化学結合の理論について講述する。原子価結合理論と分子軌道理論の基礎的事項について説明すると共に,それらに基づき,2原子分子,多原子分子の化学結合と構造について論じる。更に,共役化合物に対するヒュッケル分子軌道に基づき分子の性質を論じる。
授業計画と内容 次の各項目に付き,1〜3回の講義を行う。
1.多電子原子の電子状態
 a. 電子スピンとパウリの排他原理
 b. 遮蔽と浸透
 c. 構成原理
2.化学結合の基礎理論
 a. 核と電子の分離
 b. 分子軌道の考え方…水素分子イオン
 c. 共有結合の量子論…水素分子
3.二原子分子の電子構造
 a. 化学結合の極性
 b. 原子分子の分子軌道
4.多原子分子の電子構造
 a. 混成軌道と分子の形
 b. 共役化合物の分子軌道
履修要件 特になし
成績評価の方法・基準 期末試験及びレポート課題の総合評価とする。
教科書 プリントを配布する。
参考書等 授業中に紹介する
(関連URL)http://kuchem.kyoto-u.ac.jp/riron/hayashi/(担当教員の web ページ)
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 「物理化学I(量子化学)」(科目番号 2602)を履修していることが望ましい。
※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
3618
量子化学II [Quantum Chemistry II]
配当学年 3回生以上 単位数 2 開講期 後期 曜時限 木2 授業形態 講義
担当者 林 重彦 准教授
授業の概要・目的 分子軌道法を用いた分子の電子状態理論の基礎、特にハートリーフォック近似について講述する。分子の化学的性質を理論的に理解するためには、分子を構成する多電子の状態を明らかにする必要がある。多電子波動関数は、その電子間相互作用のために解析的な記述が困難であるが、様々な近似法の導入により、多電子波動関数の数値的計算を可能にする多くの量子化学的計算手法が開発されている。本講義では、すべての量子化学的手法の入り口である、電子間相互作用の平均場近似に基づくハートリーフォック法を理解することにより、量子化学的手法の基礎を修得する。
授業計画と内容 以下の項目に関して講義を行う。1課題あたり1〜3週の授業を行う予定である。
1.Introductory overview
2.量子力学の基礎のおさらい
 a. 量子状態とディラック記法
 b. 行列表示と線形代数
 c. 固有値問題
3.平均場近似の多電子波動関数
 a. ボルンオッペンハイマー近似
 b. 変分法
 c. スレーター行列式
4.平均場近似の演算子表現
 a. 一電子演算子・二電子演算子
 b. 一電子積分・二電子積分
 c. エネルギー表現とクーロン・交換積分
5.ハートリーフォック法
 a. 汎関数変分
 b. ハートリーフォック方程式
 c. 軌道エネルギーとクープマンズの定理
6.ローターン方程式
 a. 制限的閉殻ハートリーフォック方程式
 b. 基底関数展開とローターン方程式
 c. SCF の手続き
履修要件 特になし
成績評価の方法・基準 期末試験及びレポート課題の総合評価とする。
教科書 プリントを配布する。
参考書等 ザボ・オストランド『新しい量子化学(上)』(東京大学出版会)ISBN:9784130621113
(関連URL)http://kuchem.kyoto-u.ac.jp/riron/hayashi/(担当教員の web ページ)
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 「量子化学 I」(科目番号 3617)を履修していることが望ましい。
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3621
分析化学II [Analytical Chemistry II]
配当学年 3回生以上 単位数 2 開講期 後期 曜時限 金4 授業形態 講義
担当者 竹腰 清乃理 教授
授業の概要・目的 物質科学の研究対象となる溶液、気体、固体などさまざまな状態の試料における元素や分子の構成比率、立体構造、分子の微視的環境などを決定・推定する上で必須となる機器分析法の基礎知識と応用法について講述する。
主に分子振動分光分析,核磁気共鳴法, X線を用いた分析法などを扱う。
授業計画と内容  以下のような課題について、1課題あたり1〜4週の授業をする予定である。
 I. 概説(化学分析と機器分析 、分析法の概要)
 II. 赤外吸収・ラマンスペクトル法( 分子の振動、測定装置、測定法、解析)
 III. X線分析法(X線吸収法、X線回折法、X線小角散乱)
 IV. 磁気共鳴法(原理、パルス法、スペクトルの解析、種々の実験法)
 V. その他の分析法(質量分析法など)
 学習の理解度に応じて、変更される場合がある。
履修要件 特別な予備知識は必要としないが、他の物理化学の授業や化学数学などの履修を勧める。
成績評価の方法・基準 期末の試験に加えて、出席を含む平常点評価と小レポート(4回程度)で評価する。
教科書 特に指定しない。複雑な図などは必要に応じて適宜配布する。
参考書等 アトキンスやムーアやマッカリー・サイモンなどの物理化学
基礎化学選書7 機器分析
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 オフィスアワーは特に定めないが、講義時間外に直接話をしたい学生は竹腰(takeyan@kuchem.kyoto-u.ac.jp)まで希望日時を第三希望までと、学生番号、氏名を明記してメールすること。件名は「分析化学IIで質問です」にしてください。
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3622
環境化学 []
本年度開講せず
3632
物理化学演習B [Exercises in Chemistry B]
配当学年 3回生以上 単位数 2 開講期 前期 曜時限 金3 授業形態 演習
担当者 渡邊 一也 准教授
授業の概要・目的 主に物理化学IIの講義内容に対応する演習である。熱力学の基本原理、相平衡、統計力学の基本原理について、あらかじめ配布した問題に解答してもらい、それに対する講評および補足説明をおこなう。
授業計画と内容 以下のような課題について、1課題あたり1〜2週の演習をする予定である。
1.気体状態方程式と熱力学の基礎(I)
(van der Waals状態方程式、ビリアル係数、熱力学第一法則、気体のする仕事)
2.熱力学の基礎(II)
(状態関数、エンタルピー、断熱変化、熱容量、Joule-Tomson係数)
3.熱力学の基礎(III)
(第二法則、エントロピー、Carnotサイクル)
4.熱力学の基礎(IV)
(自由エネルギー、Maxwellの関係式、化学ポテンシャル)
5.相平衡
(相図、相律、Clapeyronの式)
6.気体分子運動論と統計力学の基礎
(気体分子運動論、カノニカル分布、分配関数)
7.統計熱力学
(熱力学関数と分配関数、平衡定数)
履修要件 物理化学Ⅱを履修していることが望ましい。
平成22年度以前に物理化学演習Iを履修済みの者はこの科目を履修しても卒業単位とはならない。
平成22年度以前の物理化学演習IIと科目番号が同じであるが、内容が異なる。物理化学演習IIを履修済みの者でも履修できる。
成績評価の方法・基準 毎回の授業での出席,解答,授業後のレポート提出に対して与える素点の合計点により判定する。
教科書 使用しない
参考書等 P. W . Atkins 『アトキンス物理化学(上)(下)』(東京化学同人)
マッカーリ・サイモン『物理化学−分子論的アプローチ−(上)(下)』(東京化学同人)
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 毎回事前に問題を配布するので各自予習しておくこと。質問等は随時受け付ける。
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3633
物理化学演習C [Exercises in Chemistry C]
配当学年 3回生以上 単位数 2 開講期 後期 曜時限 金5 授業形態 演習
担当者 山本 武志 助教
授業の概要・目的 物理化学IIIB(分光、構造)の講義に対応した演習、および、これまでの物理化学系の講義(熱・統計力学、反応速度論)に基いたやや発展的な演習を行う。総合的な問題を解くことで応用力を高めることを目標とする。事前に配布した問題に黒板で解答してもらい、それに対する講評および補足説明を行う。
授業計画と内容 以下の内容を含む物理化学の問題演習を行う。基礎知識の確認には大学2回生程度の問題を用い、発展的なトピックには4回生程度の内容を用いる(ただし、前提知識を必要としないものに限る)。
以下のトピックを取り扱う。
* 量子力学の復習
* 変分法と摂動法・時間依存の問題
* 分子の振動と回転状態
* 分子の構造と励起スペクトル
* 電磁波と物質の相互作用
* 光イオン化と光電子スペクトル
* 熱・統計力学と自由エネルギー、化学平衡
* NMRの基礎理論
黒板で解答する際には、最後まで出来なくても構わない(解けなかった部分を教官が補足する)。問題に取り組むことで理解を深める形とする。
履修要件 物理化学III(A,B)の講義を履修していることが望ましいが、物理化学の演習として単独でも利用出来る形にする。
成績評価の方法・基準 黒板での解答、およびレポート提出に対する素点の合計により判定する。
教科書 使用しない
参考書等 Peter Atkins, Ronald Friedman 『Molecular Quantum Mechanics』(Oxford)
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 ※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
3634
計算機化学演習 [Exercises in Computational Chemistry]
配当学年 3回生以上 単位数 2 開講期 前期 曜時限 金4 授業形態 演習
担当者 金 賢得 助教
授業の概要・目的 本演習では京都大学学術情報センターの教育用計算機システムを用いて、計算機実験の基礎を実習する。計算機システム(Linux)の使い方やFortranプログラミングの初歩を学び、後半は分子動力学シミュレーションの課題に取り組む。
授業計画と内容 I.Linuxの基本的な使い方
[第1回] ログインとログアウト
     基本的なコマンド
     emacsによるテキスト編集
     プログラムのコンパイルと実行
II.Fortranプログラミングの基礎
[第2回] プログラムの基本的な流れを理解する
[第3回] 組み込み関数を利用する
[第4回] 条件文(=IF文)を活用する
[第5回] DO文を使用する
[第6回] 配列変数を使用する、倍精度型の変数で計算する
[第7回] SUBROUTINE−CALL文を活用する
[第8回] データの入出力をファイルで行なう
III.分子動力学シミュレーション
[第9回] gnuplotによるデータのグラフ化
[第10回] 時間発展のアルゴリズム−Euler法とVerlet法−
[第11回] 分子力場と力の計算−1粒子の場合−
[第12回] 分子力場と力の計算−多粒子の場合−
[以下は時間的に余裕が生じた場合に行う]
数値実験データの統計処理
乱数の使用
境界条件の設定
履修要件 受講者はあらかじめ教育用計算機システムの利用登録をしておく必要がある。http://www.iimc.kyoto-u.ac.jp/services/ecs/ (電話075-753-9000)
成績評価の方法・基準 毎回の課題をこなすことで出席点(1回あたり5点×12回=60点満点)
期末にレポート提出(60点満点)
61点〜80点→可
81点〜100点→良
101点〜120点→優
教科書 授業中に配布する独自のプリント資料
参考書等 授業中に紹介する
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 ※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
3636
無機・物性化学演習 [Exercises in Inorganic and Solid State Chemistry]
配当学年 3回生以上 単位数 2 開講期 後期 曜時限 木1 授業形態 講義
担当者 吉村 一良 教授、有賀 哲也 教授、奥山 弘 准教授、北川 宏 教授
授業の概要・目的 本演習では,無機化学I,無機化学IIA,物性化学I,無機化学IIB,物性化学IIの担当教員が,それぞれの講義内容に則した演習をリレー式に担当し,周期律表の元素やその化合物の化学,遷移金属やその錯体の化学といった無機化学の基礎を習得し,無機固体・有機固体の物性化学として大切な,相平衡,結晶構造,格子欠陥,原子の運動,熱力学なとの固体物性の基礎,固体中の化学結合や電気的・熱的・磁気的性質といった固体電子論の基礎を習得する事を目的とした演習である.
授業計画と内容 1.無機化学I(吉村一良担当,2回生後期配当):3回
(1) 化学の基本となる”周期表”を中心とした元素の性質について(電子状態,原子およびイオンの大きさ,イオン化エネルギー,電子親和力,電気陰性度など).(2) 簡単な分子および結晶の構造と化学結合.(3) 水および非水溶媒中での無機反応,その平衡および酸化・還元,酸・塩基など.
2.無機化学IIA(奥山弘担当,3回生前期配当):3回
典型元素(sおよびp電子を持った元素)を中心とした無機化学(無機化学の分野に含まれる化合物やその化学反応を支配する基本原理)を概説するとともに,様々な知見の相互関連を理解し,未知なるものを予見するのに有効な通則について述べる.
3.物性化学I(吉村一良担当,3回生前期配当):3回
固体結晶の熱力学的原子論的考察(固体結晶の熱力学と平衡状態図論,固体の結晶構造,結晶の不完全性,結晶中の原子の運動(格子振動・拡散),相転移熱力学,簡単な電子論).
4.無機化学IIB(有賀哲也担当,3回生後期配当):3回
遷移元素を含む化合物の無機化学(遷移元素化合物の性質に関する基本的な知識・センス,典型元素化合物との相違および遷移系列内での周期性に着目しつつ,開殻d軌道やf軌道に由来した化学結合の特徴,化合物の安定性と反応性,構造,磁性,熱物性などや,有機金属化合物,固体化合物などの重要なトピックスを中心に).
5.物性化学II(北川宏担当,3回生後期配当):3回
固体結晶が示す様々な性質を,簡単な電子論的立場より講述(固体中の化学結合,固体の電気的性質・熱的性質・磁気的性質など).
履修要件 無機化学I,IIA,IIB,物性化学I,IIを習得していることが望ましいが,必須ではない.
成績評価の方法・基準 出席と,各教員ごとに出されるレポートの総合評価.
教科書 使用しない
各教員が,演習問題を配付する.
参考書等 特にないが,それぞれの科目に準拠する.
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 ※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
3637
生物化学演習 [Exercises in Biochemistry]
配当学年 3回生以上 単位数 2 開講期 後期 曜時限 金1 授業形態 演習
担当者 三木 邦夫 教授
杉山 弘 教授
板東 俊和 准教授
白石 英秋 准教授(生命科学研究科)
秋山 芳展 教授(ウィルス研究所)
森 博幸 准教授(ウィルス研究所)
授業の概要・目的 生物化学 IA,IB,II,III,ケミカル・バイオロジーの講義内容,あるいはこれらに関連が深いことに関する演習を行う.また,生物化学の実験における実験計画の立て方,実験手法,実験結果の解釈の仕方などについて概説する.内容は,DNA組み換え技術,遺伝子発現の制御,タンパク質生合成,タンパク質結晶学,およびケミカル・バイオロジーの手法などを含む.
授業計画と内容 以下のような課題について,1課題あたり3〜4週の授業を行う予定である.
1.ケミカル・バイオロジー(担当:杉山,板東)
1) DNAの化学合成,2) 機能分子としてのDNA,3) DNAに働く機能分子
2.遺伝子とその解析(担当:白石)
遺伝子の解析方法を原著論文に即して演習し,DNA組み換え等の分子生物学・生化学実験の実際を学ぶ.
3.構造生物学とタンパク質結晶学(担当:三木)
生体高分子の構造・機能相関に関する構造生物学研究,タンパク質・核酸の立体構造を原子レベルで決定するための結晶構造解析について,演習を交えて概説する.
4.タンパク質の動態と機能(担当:秋山,森)
以下に関する実験を原著論文に即して演習する.1) タンパク質の細胞内局在化,2) タンパク質のフォールディングと品質管理の機構,3) タンパク質の細胞内局在化による遺伝子発現調節
履修要件 特になし.
成績評価の方法・基準 出席,授業中の演習,レポートによる.
教科書 生物化学 IA,IB,II,III,ケミカル・バイオロジーの講義で用いた教科書
参考書等 生物化学 IA,IB,II,III,ケミカル・バイオロジーの講義で用いた参考書
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 面談等を希望する場合は事前に各担当者に連絡の上,アポイントメントを取ること.
担当者(代表)へのメールでの連絡先:miki@kuchem.kyoto-u.ac.jp
※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
3639
化学実験A [Chemical Laboratory A]
配当学年 3回生以上 単位数 8 開講期 前期 曜時限 月水金13:00〜17:30 授業形態 実験
担当者 化学系教員多数
吉村 洋介 講師
授業の概要・目的 化学物質・化学現象を直接取り扱うことにより、種々の化学現象を体験し、基礎的な化学実験技術を体得する事を目的とする。月曜日から水曜日の午後通して、1人あるいは2人1組で基礎的・基本的な化学実験を行う。期間中3回程度実験課題についての発表会を予定している。
授業計画と内容 以下のような課題について、1課題あたり1〜2週の実習を行う(統括:吉村洋介)。
実験 0. 実験を始める前に(奥山弘・吉村洋介)
実験 I. 無機・分析化学実験の初歩(今城文雄・奥山弘・金森主祥・久保厚・山田鉄平・吉村洋介)
I-1. 容量分析の初歩
I-2. 無機化合物の合成と分析
I-3. 合金の分析
I-4. 弱酸、弱塩基の解離平衡とpH
I-5. 分光光度計を用いた定量
I-6. 相間平衡を用いた物質分離
実験 II. 生体関連物質の抽出・分離(担当:竹田一旗・白石英秋)
II-1. 生体関連物質の光吸収
II-2. クロマトグラフィーによるクロロフィルの分離
実験 III. 有機化学実験の初歩(担当:加納太一・荒谷直樹・新谷亮)
III-1. Diels-Alder反応
III-2. トリフェニルメタノールの合成
III-3. ルミノールの合成
履修要件 化学系に登録していること。
成績評価の方法・基準 レポート、出席状況による総合評価。
教科書 実験に当たって配布する。
参考書等 化学同人編集部『実験を安全に行うために』(化学同人)ISBN:4759809589
化学同人編集部『続 実験を安全に行うために』(化学同人)ISBN:4759810811
(関連URL)http://kuchem.kyoto-u.ac.jp/ubung/(化学学生実験室のホームページ)
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 ※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
3640
化学実験B [Chemical Laboratory B]
配当学年 3回生以上 単位数 8 開講期 後期 曜時限 月水金13:00〜17:30 授業形態 実験
担当者 化学系教員多数
吉村 洋介 講師
授業の概要・目的 化学物質・化学現象を直接取り扱うことにより、種々の化学現象を体験し、基礎的な化学実験技術を体得する事を目的とする。B実験では大きく3つの分野(有機化学、生物化学、物理化学・物性化学)に関する課題で構成され、前期のA実験の基礎の上に、少し程度の高い実験を行う。
授業計画と内容 以下のような課題について、1課題あたり1〜2週の実習をする(統括:吉村洋介)。
B1.有機化学分野(担当:白川英二・依光英樹・橋本卓也)
1) 基礎的な有機化学反応とNMR
2) Beckmann転位
3) Michael付加とハロホルム反応
B2.生物化学分野(担当:藤橋雅弘・板東俊和・藤田祥彦)
1) DNAの切断地図
2) タンパク質の精製・酵素活性の測定
B3.物理化学・物性化学分野(担当:木村佳文・八田振一郎・堀尾琢哉・武田和行・中井郁代・道岡千城)
1) 反応速度と化学平衡
2) 赤外分光
3) 相転移
4) 遷移金属錯体の合成と物性
5) 光触媒と紫外・可視光吸収
6) 高温超伝導体の合成と物性
履修要件 化学実験Aを履修していること。
成績評価の方法・基準 レポート、出席状況による総合評価。
教科書 実験に当たって配布する。
参考書等 化学同人編集部『実験を安全に行うために』(化学同人)ISBN:4759809589
化学同人編集部『続 実験を安全に行うために』(化学同人)ISBN:4759810811
(関連URL)http://kuchem.kyoto-u.ac.jp/ubung/(化学学生実験室のホームページ)
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 ※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
4603
無機化学III [Inorganic Chemistry III]
配当学年 4回生以上 単位数 2 開講期 前期 曜時限 金3 授業形態 講義
担当者 植田 浩明 准教授
授業の概要・目的 錯体に代表される遷移金属化合物は、分光学的、電気的、磁気的な性質など、非常に多彩な物性を示す。これらの物性は、その構造と密接に関係している。本講義の目的は、遷移金属化合物の構造や性質を理解するために、d電子の電子状態とその特性を解釈することである。その手法として、対称性を記述する群論および配位場理論などを学習する。
授業計画と内容  講義では、まず物質の対称性を理解する土台となる群論の基礎を学ぶ。特に、分子や錯体および固体中の電子の構造や状態を記述する点群を中心に解説する。そして、配位子場理論などを通して、無機化合物の電子状態や物性の取扱いを学習する。
1. 群論の基礎 : 1回
2. 回転群と点群 : 2回
3. 群の表現 : 2回
4. 分子軌道 : 1回
5. 配位子場理論 : 3回
6. 選択則 : 2回
7. 物性と対称性 : 3回
履修要件 無機化学1, IIA, IIB, 物性化学I, II, 化学数学を受講していることが望ましいが、必須ではない。
成績評価の方法・基準 出席(20%)、レポート(80%)によって総合評価する。
教科書 使用しない
プリントを配布し、教科書の代わりとする。
参考書等 小野寺嘉孝『物性物理/物性化学のための群論入門』(裳華房)
今野豊彦『物質の対称性と群論』(共立出版)
犬井鉄郎, 田辺行人, 小野寺嘉孝『応用群論』(裳華房)
上村洸, 菅野暁, 田辺行人『配位子場理論とその応用』(裳華房)
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 講義内容に関連する質問は随時受け付ける。
      連絡先:理学研究科6号館279号室
      weda@kuchem.kyoto-u.ac.jp
※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
4608
物理化学IV [Physical Chemistry IV]
配当学年 4回生以上 単位数 2 開講期 前期 曜時限 水1 授業形態 講義
担当者 足立 俊輔 准教授
授業の概要・目的 化学反応における化学種の濃度変化の速度に着目して、現象論的に解析する分野を化学反応速度論と呼び、物理化学IIIで学習します。本講義はそれとは異なり、この現象論で扱われる反応速度が分子の電子状態や核の運動とどのように関連づけられるかを議論します。このような分野を化学反応動力学(ダイナミクス)と呼びます。化学反応には遷移状態という決定的な瞬間があると習った諸君もいると思いますが、この決定的な瞬間がどのように反応に影響するのかを理解することが一つの目標です。4回生を想定していますが、学年を指定するものではありませんので、2,3回生でも自由に受講してください。
授業計画と内容 次のような内容を含みます。ポテンシャルエネルギー曲面、Polanyi則、エネルギーの統計力学的分配、遷移状態理論、分子線散乱実験、超高速レーザー分光など。これらのテーマについて、それぞれ1-2回の講義を行います。
履修要件 履修に前提となる単位取得条件はありませんが、一般教養程度の量子化学や統計熱力学の知識があると理解しやすいと思います。
成績評価の方法・基準 出欠は取りません。成績評価(優、良、可、不可)はレポートおよび期末試験を勘案して行います。
教科書 使用しない
参考書等 土屋荘次『はじめての化学反応論』(岩波書店)ISBN:4-00-005834-7
Mark Brouard 『Reaction Dynamics』(Oxford University Press)ISBN:0-19-855907-0
R. D. Levine 『分子反応動力学』(シュプリンガージャパン)ISBN:978-4-431-10044-7
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 ※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
4609
有機化学IV [Organic Chemistry IV]
配当学年 4回生以上 単位数 2 開講期 前期 曜時限 金1 授業形態 講義
担当者 時任 宣博 教授(化学研究所)
笹森 貴裕 准教授(化学研究所)
水畑 吉行 助教(化学研究所)
吾郷 友宏 助教(化学研究所)
授業の概要・目的 有機化学においては,種々の官能基変換や選択的合成反応を組み合わせることで,多様かつ有用な物質群を社会に提供することが可能である。その根幹をなす元素は炭素を中心とする第2周期の元素であるが,合成の鍵となる素反応としては第3周期以降のヘテロ原子の特性を利用したものも数多く開発されている。この講義では,各種ヘテロ原子化合物の特徴とそれを活用した分子変換反応について,最近の研究例を中心に講述する。対象とするヘテロ原子化合物には,主に第3周期典型元素であるケイ素,リン,硫黄などを含む化合物を取り上げる。時間に余裕があれば他の元素を含む化合物の化学についても紹介する。
授業計画と内容 以下のような課題について、1課題あたり1〜3週の授業をする予定である。
1. ヘテロ原子の定義と有機化学との関わり
2. 有機硫黄化合物の合成、構造および性質
3. 有機硫黄化合物の特徴を活用した合成反応
4. セレンおよびテルルの有機化学
5. 有機リン化合物の化学とそれを用いる有機合成
6. 有機ケイ素化合物の化学(構造と性質)
7. ケイ素化合物を用いる有機合成
8. まとめ
履修要件 本講義に先立ち有機化学I,IIおよびIIIの講義を全て履修している必要はないが,できればこれらを履修した上で受講することが望ましい。
成績評価の方法・基準 出席点およびレポート提出によって評価する。
教科書 用意した講義プリントをはじめに配布する。
参考書等 特になし
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 化学研究所所属の物資創製化学研究系・有機元素化学研究領域(理学研究科・化学専攻・有機元素化学分科)において、担当教員である時任教授あるいは笹森准教授、水畑助教が随時学習等の相談を受け付ける。

連絡先:
京都府宇治市五ヶ庄 京都大学化学研究所 物質創製化学研究系 有機元素化学研究領域
時任 tokitoh@boc.kuicr.kyoto-u.ac.jp; Tel: 0774-38-3200, Fax: 07744-38-3209
笹森 sasamori@boc.kuicr.kyoto-u.ac.jp; Tel: 0774-38-3202, Fax: 0774-38-3209
水畑 mizu@boc.kuicr.kyoto-u.ac.jp; Tel:0774-38-3203,Fax:0774-38-3209

※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。

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有機化学演習 [Exercises in Organic Chemistry]
配当学年 4回生以上 単位数 2 開講期 前期 曜時限 木5 授業形態 演習
担当者 新谷 亮 助教
授業の概要・目的 2回生向きの講義である有機化学Iと3回生向きの講義である有機化学IIおよびIIIで学習した内容の復習および応用を目的とした演習を行う。教科書(P.Y.Bruice著“Organic Chemistry”)の章末問題を中心に適切な問題を追加した演習問題を教室で解答してもらい、それに対し講評および補足説明を行う。
授業計画と内容 第1回 講義の進め方の説明および問題演習
第2回 Reactions of Alkenes / Stereochemistry
第3回 Reactions of Alkynes and Dienes / Electron Delocalization
第4回 Reactions of Alkanes: Radicals
第5回 Reactions at an sp3 Hybridized Carbon
第6回 Reactions of Benzenes
第7回 Reactions of Carbonyl Compounds with Nucleophiles
第8回 Reactions of Carbonyl Compounds with Electrophiles
第9回 Heterocyclic Compounds, Pericyclic Reactions
第10回 More About Multistep Organic Synthesis
第11回 復習および応用問題演習
第12回 復習および応用問題演習
履修要件 有機化学Ⅰ〜Ⅲを履修していることが望ましい。
成績評価の方法・基準 演習問題の発表および出席によって評価する。
教科書 毎回演習問題プリントを配布する。
参考書等 P.Y.Bruice 『Organic Chemistry』
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 ※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
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基礎化学物理 [Elements of Chemical Physics]
配当学年 4回生以上 単位数 2 開講期 前期 曜時限 水2 授業形態 講義
担当者 谷村 吉隆 教授
授業の概要・目的  実験・理論にかかわらず化学現象を深く学ぶ上で、解析力学や量子力学、統計力学等の知識は不可欠である。本講義は化学を学ぶ上で基礎となる物理的知識を、そのエッセンスを中心として端的に、またスタンダードな導出と違うアプローチで説明し、非線形応答理論や散逸系の運動方程式等より進んだ概念を学ぶための基礎を学習する。
授業計画と内容 以下のような課題について、1課題あたり1〜2週の授業をする予定である
1. ラグランジュ方程式と作用
2. ハミルトニアンとリュービュル方程式
3. ディラックのブラケット表示と波動関数
4. 分配関数と密度演算子行列
5. 波動関数の摂動展開
6. 平衡状態での線形応答理論
7. 非平衡状態での線形応答理論
8. 応答関数と実験観測量
9. ランジュバン方程式とフォッカー・プランク方程式
履修要件 特になし
成績評価の方法・基準 2回生レベルでの力学、量子力学を理解している事が望ましい。4回生向けであるが3回生も受講可能である。
教科書  講義録をhttp://theochem.kuchem.kyoto-u.ac.jp/tanimura/lectures/ にアップデートしていく。
参考書等 谷村吉隆『別冊数理科学「化学物理入門」』(サイエンス社)(本書は絶版になっている。)
その他・授業外学習の指示・オフィスアワー等 ※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
低温科学B [Low-Temperature Science B]
B群 単位数 2単位 開講期 後期 週コマ数 1コマ 授業形態 講義 対象回生 全回生 対象学生 全学向 曜時限 金5 教室 理学部6号館201
担当者 吉村 一良 教授
福田 洋一 教授
竹腰 清乃理 教授
白井 康之 教授(エネルギー科学研究科)
植田 浩明 准教授
中村 裕之 教授(工学研究科)
授業の概要・目的 低温研究の発展にともなって,低温科学の領域は,理学はもとより広く工学・医学・農学などの分野に応用され,多くの最先端技術の基礎となっている.この講義は,低温科学についての高校教育と大学の専門教育の間のギャップを埋め,学生諸君に低温研究に対する理解を深めてもらうための入門的基礎講義である.
授業計画と内容 物質の観点から見た超伝導や磁性といった低温特有の基礎的な物性や低温での特異現象である超伝導の応用などについて,その分野を専門としている教員が具体的なテーマをあげて,場合によってはビデオや簡単な実験によるデモンストレーションも行いながらリレー形式の講義を行い,研究に関する歴史的な話題から研究の現状・最新の成旺に至るまで平易に解説する.
1. 物質の磁性と超伝導(局在電子系〜遍歴電子系・新しい強相関系超伝導物質まで):7回 吉村
2.超伝導応用Ⅰ(超伝導磁石:核磁気共鳴MRIへの応用1):1回 竹腰
3.超伝導応用II(エネルギー貯蔵,電力輸送,超伝導発電などへの応用):2回 白井
4.超伝導応用III(超伝導量子磁束計の地球物理学への応用):2回 福田
5.磁性I(強磁場と低温物性):1回 植田
6.磁性II(遍歴電子磁性とフラストレーション):2回 中村
成績評価の方法・基準 レポート試験(各教員が担当時間にレポート問題を提示する)
その他(授業外学習の指示・オフィスアワー等) 様々な科学の分野で低温の役割は重要となってきているので,理科系はもちろん多くの学生の履修を希望する.
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履修要件 特になし
教科書 授業中に指示する
参考書等 各担当教員が資料を配付する.
関連URL http://ocw.kyoto-u.ac.jp/graduate-school-of-science-jp/low-temperature-scienceb (京大OCW)
現代化学入門A [Introduction to Modern Chemistry A]
B群 単位数 2単位 開講期 前期 週コマ数 1コマ 授業形態 講義 対象回生 主として1回生 対象学生 理系向 曜時限 水5 教室 理学部6号館201
担当者 杉山 弘 教授
武田 和行 講師
授業のテーマと目的 理学系学生を対象として、最先端のDNAの化学、および磁気共鳴の研究を解説する。
授業計画と内容 現代の化学は、物理学や生物学と境界を接する広い領域で行われており,高校や大学初年級の教育で学生の受ける化学のイメージとの間に大きなギャップがある。この講義は、このギャップを埋める最先端の化学研究の現状とその面白さを伝えるための入門基礎講義である。生体分子のかかわる最新の化学研究や、物性化学研究で行われている、原子核スピンや電子スピンを利用した構造・物性解析の紹介を行う。専門的知識が無くても最先端の化学研究のダイナミックな面白さが分かるように平易に解説する。
北部キャンパスまでは吉田地区より徒歩で3分

DNAの化学 (杉山 弘)
我々は遺伝情報を格納するためにDNAをもっている。分子生物学の急速な進歩によって、がんや遺伝病を含む多くの疾病がDNAのレベルで理解されるようになった。しかし、これらの情報を実際の治療に役立つものとするには、細胞内でのDNAの構造や、細胞の外からDNAの働きを制御する方法論の開発が必須である。最前線のDNAの化学の進歩についてトピックスをわかりやすく解説する。

原子核スピン・電子スピンの化学(武田 和行)
現代の化学研究においては、物質が発現する性質を探るために、分子の構造や運動性、また分子を構成する電子の分布やその振る舞い等、目に見えないミクロな現象にアクセスするための道具が欠かせない。その要求を叶える強力な手段として普及している磁気共鳴分光学を紹介する。原子核や電子に内在する磁石(スピンと呼ばれる)の振る舞いを検出することで構造情報を得る原理や、量子力学・電磁気学・数学・電気工学等の諸分野との深い関わりについても解説する。

成績評価の方法 レポート試験と出席率
その他(授業外学習の指示・オフィスアワー等) ※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
履修要件 特になし
教科書 使用しない
参考書等 未定
関連URL
現代化学入門B [Introduction to Modern Chemistry B]
B群 単位数 2単位 開講期 後期 週コマ数 1コマ 授業形態 講義 対象回生 主として1回生 対象学生 理系向 曜時限 水5 教室 理学部6号館201
担当者 鈴木 俊法 教授
宗林 由樹 教授(化学研究所)
授業のテーマと目的 理学系学生を対象として最先端の化学研究を平易に解説する.
授業計画と内容 現代化学入門Aに続く、最先端の化学研究の現状を紹介する入門基礎講義である。現代化学入門Bでは、オムニバス形式で先端の物理化学研究と無機化学研究の紹介、説明を行う。専門的知識が無くても、最先端の化学研究のダイナミックな面白さが分かるように平易に解説する。

鈴木俊法:分子の構造や反応に関する物理化学的研究の最前線を紹介する。レーザーによる分子の量子状態制御、先端的顕微鏡による一分子の観察、ロドプシンにおけるプロトンポンプのメカニズム解明など、主に光と分子の相互作用を利用した実験研究について紹介する。(前半)

宗林由樹:無機元素を中心に、地球環境化学の最前線を紹介する。おもに海や湖を対象として生物地球化学的循環を概説し、化学の立場から地球の歴史と将来を考える。あわせて、その研究の基礎となる無機化学および分析化学についても解説する。(後半)

成績評価の方法 出席とレポートにより採点する
その他(授業外学習の指示・オフィスアワー等) ※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。
履修要件 特になし
教科書 使用しない
参考書等 授業中に紹介する
関連URL
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